【産業天気図・家電・AV】景気悪化にユーロ安、さらにはスマホ侵食で苦境続く
12年4月~12年9月 | 12年10月~13年3月 |
家電・AV業界は12年4~12年9月にかけて、「雨」模様となっている。東日本大震災やタイ洪水の影響が薄れた分、大幅な改善が期待されていたが、実際はさほどではない。背景には、欧州の景気悪化およびユーロ安、さらには中国市場の伸び悩みなどさまざまな外部要因がある。
さらには、デジタルカメラやゲーム機、カーナビといった家電製品のカテゴリを、スマートフォンが侵食し始めている。12年4~6月期にソニーがデジタルカメラと携帯ゲーム機の年間販売台数計画を早々に下方修正するなど、ボディーブローのように効き始めている。カーナビメーカー各社はスマホ対応の新製品を続々と投入しているが、今後は低価格製品がスマホと競合することは避けられないだろう。
残念ながら成長著しいスマホ市場は、米アップルと韓国サムスン電子の2大巨頭の独壇場。薄型テレビの生産・販売に邁進してきた日本メーカーは、まるで存在感を発揮できていないのが実情だ。
各社の“お荷物事業”に成り下がったテレビ市場も、想定以上に回復が鈍い。日本や欧米といった先進国市場の低迷に加え、中国市場をはじめとする新興国も冴えない。中国国内で液晶パネル工場が立ち上がり、中国メーカーが安価な薄型テレビを大量生産するようになった今、日本メーカーは価格競争力では太刀打ちできるはずもない。ソニー、パナソニック、シャープともに減産とリストラを進めている。
こうした取り組みの成果もあって、12年後半からは「曇り」まで改善しそうだ。ただこれは、リストラという力業に伴う回復。手堅い白モノ家電を伸ばして新興国でシェアを上げても、業績全体の牽引役にはなりえない。ヒット商品を生み出して売上高を伸ばし、利益も回復させるという好循環までの道のりはまだ遠い。
(前田 佳子 =東洋経済オンライン)
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