速く走りたいなら炭水化物は「夜抜く」べきだ 最新食事法スリープローの効果とは

拡大
縮小

しかし、再びトライアスロンの模擬レースを行うと、このグループのアスリートたちのパフォーマンスが顕著に向上したのだ。レースの最後に行われる10キロのランニングでは、実験の始めに行ったレースよりも約75秒(3%)タイムが速くなった。もう一方のグループには上達は見られなかった。

さらに、スリープローを実践したアスリートは体脂肪が減り、もう一方のグループには変化がなかった。

実践には注意も必要

INSEPの大学院生で研究チームのリーダーであるローリー・アン・マルケは、午後に激しい運動をして体内の炭水化物(糖質)を消耗させ、翌朝に適度なトレーニングをした後にホットケーキの山を食べれば、持久力とパフォーマンスが向上するだろうと言う。

スリープローのプログラムを実践したアスリートは、脂肪をエネルギー源として効果的に使えるようになったことで別のグループに比べてよりハードな運動が可能となり、それによって体力とスピードが向上したと考えられるという。

当然ながら、このような厳しいプログラムはすべての人に向いているわけではない。マラソンやトライアスロンなどのトレーニングをしていない人には、スリープローの効果は同じようには表れないだろう。こうした競技のアスリートでも、このプログラムを実践するには注意が必要だと、マルケは指摘する。レースの数週間前から始め、レースの数日前には内容を軽くするといいという。

ただ、この食事法が気になる人にとって励みとなるのは、マルケいわく、実験に参加したアスリートのほとんどがこのプログラムをすでにトレーニングに取り入れていることだ。

(執筆:Gretchen Reynolds記者、翻訳:前田雅子)

© 2016 New York Times News Service

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT