独断!東京一「子育てしやすい街」はどこか 自然の豊かさや子育て支援以外の視点で判断

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会ではひとつのテーマに対し、専門家もそれ以外の人もイーブンな関係で意見を交換。専門用語を使わない、相手の意見を否定しないなど簡単なルールはあるが、基本は自由にアイデアを言い合う。これまでに、京王線高架後の跡地や多摩川などをテーマに開催され、平均20人、多い時には30人ほどの人を集めているが、転機となったのは2015年6月の「花火大会を楽しむ会」だ。

長時間滞在をしてもらいたい

調布市では毎年8月に多摩川河原で花火大会が開かれており、約33万人が訪れる。が、花火の前後に訪れる客は少ないため、調布市により長時間滞在してもらい、観光や食事などを楽しんでもらうにはどうしたらいいか、というのが当日の話題だった。

当日は市の産業振興課の担当者も出席。市民と共同で何かできないかという話の中から、唐品氏たちは大会当日の昼間に花火大会に関連したワークショップを多数開催。地元を盛り上げた。

川原で寝袋にくるまりながら映画を見る「ねぶくろシネマ」の様子

ここで生まれた調布市とのつながりが「ねぶくろシネマ」につながった。多摩川にかかる京王線の橋脚をスクリーンにして、川原で寝袋にくるまりながら映画を見る会で、第一回目は2015年12月19日に開催。会が開かれた橋脚付近は橋脚直下を京王電鉄、隣接するグラウンドを調布市、それ以外の河川敷を国が管理するという、それぞれ許可を得るのに大変そうな場所だが、市が動いたことで許可は比較的容易に得られた。当日は、寝袋があっても寒くて大変だろうと、上映された映画「しあわせのパン」にちなんでパンやスープ、暖かい飲み物を売る店が出店、テーブルに椅子なども用意された。

そんな非日常的な雰囲気に惹かれたのか、12月の寒空の下、100人近くの人たちが参加。小さな子どものいる家族も周囲を気にすることなく、映画を楽しんだ。3月26日には2回目の「ねぶくろシネマ」も開催。三菱自動車が電源として電気自動車を貸してくれたり、調布市の働く母親のためのコワーキングスペースなどともコラボしたりと、会の規模は確実に膨らんでおり、主催者が把握しただけでも参加者は400人を超したという。

また、2回目開催に先駆けて開かれた「野外映画館を面白がる会」には、「初回に参加できなかったが、何か手伝いたい」という人が数多く訪れ、地域に参加したいと思っている人が少なからずいることがわかった。

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