テロリストは「安くて簡単」な手で恐怖を煽る 「経済学」でテロの狙いを考える

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2007年8月8日、以上の書き込みがアップされた。カンカンに怒り狂ったコメントが相次ぎ、数百本に届いたところで、ブログの運営元はコメント欄を閉鎖した。典型的なコメントはこんな感じ。「お前おちょくってんのか。テロのアイデア? ステキだとでも? オレって頭いいよなってか? ボケが」。そんなことがあったのでレヴィットは、もう1回やってみることにした。それも翌日に。

 

ブログをアップした日、僕の書き込みに、のっけからすごい数の嫌がらせメールが送られてきた。ずっと前に、はじめて中絶と犯罪の話を書いて以来だ。メールを送ってきた人たちは、僕が脳タリンなのか裏切り者なのか、それとも両方なのか判断しかねている様子だった。そういうわけで、それじゃもう1回。

ブチキレたたくさんのレスを見て思ったのは、世間の人たちは、テロリストたちは日がな1日なにしてると思ってんだろ、ってことだ。思うに、テロリストたちはテロの作戦のアイデアを出し合ってブレインストーミングをしているんじゃなかろうか。

で、みなさんはっていうと、テロリストどもなんてどうしようもなく脳タリンだって思っているってことだろうか。ワシントンDCで連続狙撃魔事件があったっていうのに、あれを見ても狙撃がけっこういい作戦だってわからないんだったら、そういうことになる。

言いたいのはこういうことだ。テロリストたちは信じられないぐらい単純な作戦が取れて、そういう作戦は実質的に無限大にある。最後に米国で大きなテロ攻撃があってからずいぶん経つわけで、テロリストが無能なのか、ひょっとすると連中の目的がほんとは恐怖をまき散らすことでなかったかのどちらかってことになりそうだ(もうひとつ、警察と政府がテロを防ごうと頑張っている点がある。それについては後ほど)。

どうやってテロをやめさせるか書け、怒り狂ってそう要求するeメールをたくさん貰った。でも、答えはわかり切っていて、しかも残念な内容だ。テロリストがコストも程度も低いテロを仕掛けようと思ったら、僕たちはなかなかそれを止められない。

テロの本当のコストは命でなく恐れ

さて、それじゃ僕たちに何ができるだろう? イギリスやイスラエルの人たちがやってきたように、こういう状況になったら、米国人もこういう状況の下で暮らす術を身に付けるほかない。程度の低いテロで実際に失われる人の命という形でのコストは、交通事故や心臓麻痺、殺人や自殺に比べると小さい。テロがもたらす本当のコストは、むしろ恐れのほうだ。

次ページではテロを防ぐにはどうしたらいいのか
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