「インプレッサ」の最新進化は何がスゴいのか スバルの新世代プラットフォームが遂に始動

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ニューヨーク国際オートショーでベールを脱いだスバルの新型「インプレッサ」(写真は5ドア・ハッチバック)

今年のニューヨーク国際オートショーは、いつも以上に日本車メーカーが元気だった。アメリカ国内だけ見ても、デトロイト・スリー(ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラー)のお膝元であるデトロイト・ショーや、全米の富裕層が集まるロサンゼルス・ショーといった国際格のモーターショーと比べると規模は小さいながらも、東海岸は日本車メーカーのシェアが高く、「日本車メーカーがアメリカで何をしようとしているのか?」がよくわかる。

ニューヨークはアメリカ最大の都市であり、ウォール街は世界一の金融街としても有名だ。重要なメディアが集まる地でもあり、株式市場の存在を意識してアナリスト向けのミーティングが開かれるといった土地柄でもある。

そんな日本車メーカーの中でもこのニューヨーク・ショーに力が入っていたのがスバル(富士重工業)だ。なんせ昨年の世界販売台数約91万台のうち、アメリカは約57万台と6割も占めた。だからこそ、スバルは第6世代となる新しいプラットフォーム(車台)である「スバルグローバルプラットフォーム」を初めて採用する新型「インプレッサ」の発表の場に、デトロイトやジュネーブといった国際格の大型モーターショーではなく、みずからの存在感を強調できるニューヨーク・ショーを選んだ。

読者諸氏の中には、「レガシィ」や「アウトバック」といったスバルの旗艦モデルではなく、なぜ、スバルのエントリー・モデルともいえるインプレッサにスポットをあてるのか疑問に思う人もいるかもしれない。しかし、5代目となる新型インプレッサは、単なるエントリー・モデルではない。新中期経営ビジョンとして掲げられた「際立とう2020」の主軸となる新世代プラットフォームを採用する第1弾であり、今後のスバルのラインナップが第6世代へと進化する第一歩となる、という点で注目されている。

スバルは新しいプラットフォームの導入により、比較的コンパクトなインプレッサからレガシィ、アウトバック、北米向けの3列シートSUV(スポーツ多目的車)といった大きな車種まで、トヨタ自動車と共同開発し、トヨタへOEM(相手先ブランドでの生産)供給もしているスポーツカーの「BRZ」(トヨタ「86」)を除くすべての車種に1つの共通したプラットフォームを採用する計画だ。

ニューヨークのど真ん中でプレビュー

これまでインプレッサは2015年の東京モーターショーで5ドア・ハッチバック、続くロサンゼルス・ショーで4ドア・セダンと、相次いでコンセプトカーが発表されており、さらに今年3月に入って新型「インプレッサ」に採用されるであろう新開発のスバルグローバルプラットフォームとパワートレインに関する説明会が開催された。当然、ファンの期待も絶頂を迎えていた。

プレスデーの前夜である3月22日、ニューヨークの中心部であるミッドタウンで、4ドア・セダンの外観のみに限定してのプレビューが行われた。入り口には、スバルが2007年から続けてきた「LOVE」キャンペーンを象徴するハートマークのメッセージボードがある。

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