木本:それほど大きな変化だったんですね。
美根:はい。ただ問題はあって、高齢の元慰安婦が数十名残っていて、それを支援する人たちのパワーがすごい。日本人を含む支援者たちが合意に反対しています。今、韓国政府はそういう人たちを自ら説得にかかっている。以前は日本政府に対して、支援者たちを説得しろと主張していて、「やり方が悪い」と批判していまししたから。
木本:ありえなかった大きな変化が起こっているんですね。
日韓関係は東西問題でもある
美根:ただ、前回お話しした北朝鮮とは別の意味で、韓国という国も「わかりにくい国」です。言語的にも、文化的にも近い部分はありますが、日本に対する韓国の注目度と、韓国に対する日本の注目度に、かなりの温度差があります。私は兵庫県姫路市出身ですが、姫路の人間はいつも東を向いています。だから西のことは知らない。西に行こうと思わないし、そもそも関心がない。
木本:たしかに僕も大阪ですから、一緒ですね。
美根:大阪の場合は東京へのライバル意識もあるでしょうが、姫路の僕にはどちらも東です。同じような図式が日本と韓国にあると思います。韓国は日本にとって「西」。日本の「東」は欧米であり、中国なんです。明治以降の近代化の歴史を見ても、常に東に関心が向かっています。韓国に学ぶとか、知ろうとか、理解しようとする方向に向かわなかった。韓国はロシアに対抗する戦場、喧嘩の場。それがたまたま朝鮮半島であり、満州だったに過ぎない。
木本:憧れの場所でなく、シビアな場所だった。逆に韓国にとっては、日本における欧米のような、ちょっと気になる場所なわけですね。
美根:ちょっとどころか、ものすごく気になる国。でも、韓国の人たちには、日本は韓国が期待するようには動いてくれない、という意識がある。植民地時代は特殊なケースですが、「被害者と加害者の関係は千年経っても変わらない」と就任直後の朴槿恵大統領は言っていました。慰安婦問題も韓国の思うように日本が動いてくれないのは、韓国側からすると日韓関係に横たわる大きな問題点なんです。
木本:自分たちはベストなことをしていると思いがちですが、韓国のほうを向いてきちんと直視してみると、やらなければいけないとことが山積みだと理解できるかもしれませんね。
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