フジテレビ「15時間生放送」が示す本当の危機

民放は減っていくパイを奪い合うだけなのか

多様性の担保が普通の時代に、まさかの報道・生活情報チャンネル統一化。朝から夕方まで、どこの局のどの時間帯も、凄惨な事件、芸能ゴシップ、生活情報を扱っている番組ばかりで、明らかにトゥーマッチなのです。加えて、夜のバラエティー番組も生活情報を扱ったものが年々増える一方、お笑い、ドラマ、スポーツ、音楽などの番組が深夜に追いやられる現象が続いています。

臨場感に欠ける「生放送」

報道・生活情報チャンネル化への懸念として見逃せないのは、生放送の魅力をそぐような番組内容。どの局のどの番組も、大々的に「生放送」と打ち出していますが、実際は「VTRをスタジオの出演者で受ける」形の番組が大半を占めているのです。

特に「台本に沿って収録・編集された映像に、出演者がコメントをつけるだけ」の番組では、生放送最大の魅力である臨場感を味わうことはできません。出演者の力量が試されるアドリブや想定外の爆笑ハプニングなどはなく、わざわざ生放送という形態を採る必要はないのです。

かつて、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)が国民的な人気番組となったのは、観覧者を入れた“公開生放送”だったから。テロップやナレーションなどに頼らず、出演者のパフォーマンスと観覧者のリアクションだけで臨場感のある番組を作っていたからこそ、「仕事の合間を縫っても見たい」という人が多かったのです。

ただ、『笑っていいとも!』の後番組、『バイキング』(フジテレビ系)にもそのような臨場感やハプニングを楽しむ人気コーナーがありました。それは、『サンドウィッチマンの生中継!日本全国地引網クッキング』。料理そのものよりも、目当ての魚が獲れない誤算や言い訳、海岸に集まる現地人のハジケぶり、サンドウィッチマンの無礼な素人イジリなど、生放送らしい魅力であふれていましたが、昨年8月以来放送されていません。

もし同コーナーを続行できない諸事情があるとしても、その他に生放送の魅力を感じるコンテンツは本当にないのでしょうか? それを見つけられないところに、報道・生活情報チャンネル化という問題の根深さが垣間見えます。

同じ中身で包み紙を変えただけ

このまま報道・生活情報チャンネル化が続くと、テレビはどうなってしまうのでしょうか。各番組の内容は、『週刊文春』『週刊ポスト』『週刊女性セブン』『週刊女性』などの政治経済と芸能、『ESSE』『レタスクラブ』『クロワッサン』などの生活情報というように、中高年や主婦向けの雑誌と似ていることが分かります。若年層はターゲットから外れ、彼らの“テレビ離れ”はますます進み、視聴者層はさらに高齢化しかねません。

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