トランプやサンダースに踊らされる米労働者 不幸の元凶は自由貿易ではなく雇用政策だ

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低学歴の工場労働者が大幅な賃下げに見舞われて将来展望も暗いのは、貿易のせいではなく、米国自体に問題があるからだ。

米国では工場労働者が失業して再雇用されると賃金が以前から2割下がるのが一般的だが、欧州の14カ国では、この比率はわずか2.7%に抑えられている。サービス業の場合、欧州では再雇用されると、逆に賃金が平均7%上がる。

ドイツやオランダ、スウェーデンといった国は、原因が自由貿易にあろうと技術革新にあろうと、解雇された労働者のためにGDPの1~2%を「積極的労働政策」に割くことで対処している。この政策によって職業再訓練や職業のマッチング、オン・ザ・ジョブ・トレーニングのための補助金までもが支給される。

真の解決策は「社会主義的」

片や米国は、そうした政策にGDPのわずか0・1%しか割いておらず、先進国の中でも最低水準である。欧州で労働者たちの転職支援が注力されるのと自由貿易が支持されるのは、偶然の一致ではないのだ。

トランプやサンダースに手っ取り早い打開策を求めている投票者たちに必要なのは、独善的な講釈などではなく、本物の解決策だ。残念ながら、米国内のあまりにも多くの人々が、そのような解決策を「社会主義」だと非難してしまっているのが実情だ。

週刊東洋経済3月26日号

リチャード・カッツ 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Richard Katz

カーネギーカウンシルのシニアフェロー。フォーリン・アフェアーズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。著書に『The Contest for Japan's Economic Future: Entrepreneurs vs. Corporate Giants 』(日本語翻訳版発売予定)

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