1日にわずか8台、知られざるバスの生産現場 スライドショーで見る、観光バスの作り方

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あとは出荷を待つだけの大型バス。取材当日には雪が降り、天井にも雪が積もっていた

巨大なフロントガラスが特徴の超大型観光バスを指差して、冨田恵一三菱ふそうバス製造工作部長は「座席位置を高くして車窓からの眺望をよくしたバスが特に売れている」と説明する。

富山県にある三菱ふそうバス製造では、大型バスの増産が急ピッチで進んでいる。同社の大型バスの販売台数は2015年に1496台と前年比で18%も増加した。

その複雑さは「家を建てるのと同じくらい」

需要が急回復しても、納期は10か月かかってしまうのがバス製造の悩ましさだ。大型バスはすべてが受注生産で、カーテンやフロアマットなどの仕様が1台ずつ異なる。

作業が複雑で仕様変更も多岐に渡ることから、バスの製造は「注文住宅を建てるようなもの」とたとえられる。三菱ふそうバス製造の大型バスは1日当たりたったの8台。車が次々に流れていく自動車工場の生産ラインと比べると、ラインの流れもゆったりとしているのが特徴だ。

最近では乗り心地のよい高級シートで他社と差別化するバス会社が増えている。個々のバスで違うシートを取り付けるので、大量発注はできないが、「シートの発注や手配に手間をかかけることが顧客の商品力につながる」(菅野秀一三菱ふそうバス製造社長)のだという。

シートを車内へ搬入するのも一苦労がある。重たいシートの運び入れは、階段の昇り降りが必要なバスの入り口ではなく、後部の非常口から。非常口の高さまでは昇降機が持ち上げて作業員を助けてくれるが、安全基準を満たすように何十個ものシートを取り付けていくのは全て手作業で行なわれる。

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