1日にわずか8台、知られざるバスの生産現場 スライドショーで見る、観光バスの作り方

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バスの製造には職人技が必要な工程もある。バスの骨格を組み上げていくときに必要な技術が「溶接」だ。金属を高熱で溶かして接着していくと、ぱちぱちと火花を飛び散らせることもある。

熱を放つ溶接針の傾け角度や電圧の調節など、作業員の細やかな技術が試される工程なので、若手は「溶接道場」という訓練ブースで鍛えられている。

「バスをみれば自社製かわかる」

骨格の組み立てが終わればさび止め加工に入る。電着槽と呼ばれる黒色のプールにバスの骨格を漬けて、電気を流すこと約18分間。オーブンに入れてさび止め塗料を焼き付ければ、次は色や絵柄を塗りつける塗料工程に移る。各バス会社のデザインに合わせて絵柄や色を重ね塗りしていく。

個々のバスに特徴があると、町で走るバスが自分の工場でつくられたものか判別するのも簡単。だからこそ、「自分がつくったバスが街中をちゃんと走っているかは休みの日でも気になってしまう。バスを見かけるときは気が休まらない」(冨田工作部長)。

丹精込めてつくられたバスは、お客を乗せて、今日も日本中を走り回っている。

 

 

(撮影:今 祥雄)

宮本 夏実 東洋経済 記者

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みやもと なつみ / Natsumi Miyamoto

自動車メーカー、部品会社を担当

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