iPhone新製品「3月発表」に込められた"狙い" アップル「再拡大」のカギ握る3つのテコ入れ

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なお、今回登場する小型のiPhoneは、ディスプレイ関連を除けば、カメラ、プロセッサなどは最新のものが採用され、ほぼiPhone 6sの仕様を踏襲する性能が積み込まれると見られている。

6カ月遅れながら、小型の、しかも価格を抑えるであろうスマートフォンに最新機能を積み込むサイクルが確立されると、9月、3月の2つの山を作り出すことができるのではないか、と期待できる。

iPadの位置づけにもテコ入れ

3つめのテコ入れが、従来サイズのiPadの新製品へのアップデートだ。4インチのiPhoneとともに発表されると見られているのが、9.7インチのiPad。現行モデルはiPad Air 2だが、2014年10月にリリースされて以来、2015年の新製品発表はなかった。

iPadは、2013年第1四半期をピークに、前年同期比割れを繰り返す長い下降トレンドの中にある。2015年11月には、12.9インチのより大きな画面と、着脱式キーボードカバー、そして軽く精密なタッチのアップル PencilをサポートするiPad Proがリリースされたが、iPadシリーズのそのものの販売台数の増加には結びついていない。

アップルは依然として、販売シェアで約3割を確保するタブレットのトップメーカーで在り続けている。ただ、マイクロソフトのSurfaceシリーズのように、パソコンを代替することができるタブレットの需要が急激に高まっている中で、アップルとしてもこのカテゴリへの参入を、iPad Proで果たしたと見ている。

IDCでは、通常のタブレット(タブレット・スレート)に対して、着脱式のキーボードを備えるタブレットを「デタッチャブル・タブレット」と呼んでいる。2015年のIDCの調査では、日本国内でタブレット・スレートが前年比マイナス5.5%の落ち込んだのに対し、デタッチャブル・タブレットは前年比80%の増加だった。

こうしたことから、9.7インチのiPadにもキーボードカバーを用意し、デタッチャブル・タブレットとして利用できる製品へとアップデートした上で、既存のiPad Air 2を値下げするラインアップの見直しを図って、新たなタブレットのトレンド活用を狙えるとよいだろう。

アップルのイベントは、米国西海岸夏時間の3月21日午前10時から(日本時間3月22日午前2時)開催される。ウェブサイトでは、イベントの生中継も見ることができる。
 

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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