次期戦闘機問題、F22の追加生産中止は日本にとってよいことだ
彼らは、米国がF22を日本に売ろうとしないのは米国が中国に傾斜しているから、と考える。その“証拠”として、オバマ大統領が駐中国大使にジョン・ハンツマン氏を指名したことを挙げる。ハンツマン氏はユタ州知事を務めた有力者。一方、駐日大使に指名されたのは政界でほぼ無名のジョン・ルース氏。シリコンバレーを舞台に活動する弁護士で、オバマ大統領の中国重視が露呈したというのだ。
しかし、ホワイトハウスをよく知る人々の間では、オバマ大統領はルース氏と非常に緊密だが、ハンツマン氏にはほとんど面識がない、というのは周知の事実だ。
話をF22に戻そう。当初、F22の輸出を否定するのは、技術ナショナリズムからだった。連邦議会はF22の輸出を禁止した。日本だけではなく、イスラエル、英国、その他の重要な同盟国に対しても同様だった。
ところが、米国の景気が悪化すると、これら輸出反対論者たちは一転、輸出支持に変わった。しかし、オバマ大統領とゲイツ長官は、F22の追加生産中止を決めた。
日本が頑固にF22にこだわっているのは、最高の戦闘機が欲しいというプライドが大きな理由だ。しかし、日本はどの種類のF22を念頭に置いているのだろうか。米国が他国による最先端技術へのアクセスを禁止しているため、仮に輸出したとしても輸出用機種は性能が劣るということがありうる。
だが、連邦議会は輸出モデルの生産を許可しないだろう。議会には、輸出向けにF22に修正を加えるにはあまりにも長い時間と高額の費用を要することがわかっているからだ(輸出向けの修正とは、基本的には、主要技術を取り除くことによって、他国に対する米国の優位性を確保することを意味する)。しかも、性能の劣る輸出モデルとて、購入には莫大なカネが必要だ。