「チームでアプリを作る」と起こる良いこと サンフランシスコ在住の日本人が開発

拡大
縮小

大きなきっかけは、米国で川島氏に子どもができたことと、同氏の母がキャリアのデジタルフォトフレームに毎月1500円払っていて驚いたことだった。画質が悪く、それ以外に何も使えない上に高い。しかしフォトフレームのニーズの存在にも気づき、より良い体験を作りたい、と考えたという。

「おそらく今なら、iPadであればiCloud写真共有やFacebookなどでも同じことができるでしょう。しかしデバイスの使い方、アプリの使い方をゼロから覚えなければならず、これが親には障壁になってきました。そこで、写真を見る側の作業をなくした、極限までシンプルなアプリを目指しました」(川島氏)

アプリそのものには閲覧機能しかなく、専用のメールアドレスに写真を送るだけで、アルバム風のデザインの画面に写真が表示される。位置情報付きの写真であれば、撮影した場所も地図で表示される仕組みだ。

サンフランシスコならではのチーム作り

このアプリにおいて、全体のディレクションとデザインを手がけた川島氏。そして実装を行った丹羽氏。2人は口をそろえて「Phami.lyは完全なる、サイドプロジェクト」と語る。アプリとしては100人くらい使ってくれれば良いとも言う。サーバの運営も行っているため、たくさんの人が使うと困るとも。

長期にわたる開発期間と、完成させることに大きな意義を持っていた理由について聞いた。

「プロジェクトは、まったく異なるスキルを持った4人ほどのチームで作りました。ディレクター、デザイナー、エンジニア、UIデザイナー。普段会社での仕事でやっているようなチーム構成を、身近な友人の間で作れたのは、これはサンフランシスコらしい事情でもあります」(丹羽氏)

サンフランシスコでアプリ開発をする際のチーム構成は、一般的に、プロダクトマネージャー、エンジニアが2〜3人、そしてデザイナー1人というバランスだ。丹羽氏は、こうした一般的なチームの小規模版が作れた、という感覚だったという。

エンジニアだけのチームでは、持てる技術を思い切りつぎ込みたくなる。一方で、デザイナーだけでは完成品にはならない。たとえば、エンジニアである丹羽氏は、機能をいかに切り落とすか、という議論は、チームを作ったからこその賜物だと語った。

次ページ自分の経験とスキルアップの場を求めて
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT