シャラポワ薬物、なぜ企業の対応が早いのか 「疑わしきは罰」という姿勢強める企業
[8日 ロイター] - 女子テニスの元世界ランク1位、マリア・シャラポワ(ロシア)が、薬物検査で陽性反応を示したことを告白した翌日の8日、ナイキ、ポルシェ、タグホイヤーなどのスポンサーは直ちに契約を見合わせる方針を示した。
ソーシャルメディアが即座の対応を求めるようになる前は、スポンサーは「疑わしきは罰せず」という姿勢で、スポーツ選手に数週間あるいは数カ月の猶予を与えることが多かった。
企業は汚点を回避することに躍起
スポンサーシップの分析などを行うIEGの推定によれば、世界全体で投資額が600億ドル(約6兆7500億円)にも上るスポンサー事業において、企業はスキャンダルという汚点を回避することに躍起になっている。今年の夏季五輪でドーピング違反が判明した選手に対しても、同様に実入りの良い契約の即時打ち切りが予想される。
「ほぼあらゆるスポーツにおいて運動能力を向上させる薬物の使用がこの数年で注目を集めていることを考えると、スポンサーはできるだけ早く打ち切ろうとするだろう」と、弁護士事務所ローブ・アンド・ローブのブライアン・ソコロウ氏は指摘。
「彼らはランス・アームストロングのような選手のスポンサーになることは避けたいと考えている」と、同氏は述べた。アームストロング氏は、ツール・ド・フランスで7回優勝したが、ドーピングでタイトルを全てはく奪され、自転車ロードレースから永久追放処分を受けた。アームストロング氏は後にテレビ番組のインタビューで、運動能力向上薬の使用を告白している。
アームストロング氏の場合は、薬物使用疑惑を当初否定していたこともあり、収束するのに数年を要したが、シャラポワは直ちに記者会見を開き、1月の全豪オープンの薬物検査で陽性反応を示していたことを明らかにした。