震災から5年、被災した鉄路の今とこれから 再開が見えた路線やBRT化…まだ続く模索

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BRTでは既存駅に加えて駅の増設も進む

ただ、BRTは鉄道とバスの利点を併せ持つものとされてはいるけれど、その運営方法や将来の改良の方向性次第では、それぞれの短所が浮き彫りになるのではないか。

そういう危惧を、今回の取材では抱いた。近い機会に、より掘り下げた論考を行ってみたいが、BRTはあくまで「見た目がバス」であることがアキレス腱になってしまわないか、心配なのである。

一方で、列車代行バスも運転せず、地元自治体はあくまで鉄道での運行再開を求め続け、ついにはJR東日本との妥協点を見いだし、復旧作業が始まったのが、山田線宮古〜釜石間だ。

山田線は全線再開まで7年?

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三陸鉄道は宮古〜釜石間の運行も担うことになる

2015年3月に着手された工事は、約1年を経てかなり本格化しているようで、2018年度の全線復旧が目標となっている。

この区間は、復旧費用をJR東日本の負担と復興交付金からの拠出でまかない、工事完了後、線路などの設備は地元自治体へ譲渡。営業や列車の運行は三陸鉄道が実施することになる。軌道強化や必要となる車両の譲渡、人的支援、観光客誘致への協力などもJR東日本は行う。さらに、30億円の「一時金」も拠出する。

相当な好条件を引き出した感があるが、全線復旧までの7年間、公共輸送は路線バスが担ってきている。言い換えれば、バスの実績が積み上げられてきている。以前にも懸念を示したことがあるが、「バスで十分ではないか」という住民の意識が、この長い年月の間に醸成されてはいないか。列車の運行が再開されれば、利用客が戻ってくるのか。

三陸鉄道に対する「マイレール」意識が強い地域だけに、これは杞憂に終わるかもしれない。だが、ここもやはり沿線人口の流出が続いている。駅の増設も計画されているようであるが、さらに盛岡方面への直通など、前向きの施策を期待したいところだ。

津波で大きな被害を出した山田町、大槌町の復興ともども、鉄道がどう地域に貢献していくか。先行きを今後も注視していきたい。

土屋 武之 鉄道ジャーナリスト

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つちや たけゆき / Takeyuki Tsuchiya

1965年生まれ。『鉄道ジャーナル』のルポを毎号担当。震災被害を受けた鉄道の取材も精力的に行う。著書に『鉄道の未来予想図』『きっぷのルール ハンドブック』など。

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