中学生が行く「セブ島英語短期留学」の舞台裏 大学入試改革が英語教育の大転換をもたらす
まず立命館宇治中学高等学校について触れておきたい。
立命館宇治はその名のとおり、立命館大学や立命館アジア太平洋大学を擁する立命館学園の一員で、国際教育に力を入れている学校だ。中高一貫校である同校では、海外大学進学基準とした国際バカロレア資格を取得するだけでなく、文部科学省によるスーパーグローバルハイスクール(SGH)認定も取得している。
SGH認定のIMコースの生徒は全員、英語圏への1年間の留学後、「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」にシフトする。帰国後の授業はすべて英語で行われるのだが、高校生にもかかわらず香港やラオス等での課外研修などにも取り組ませる同校はSGH認定校の中でも意欲的かつ本気だ。完全に大学生顔負け、いや下手をすれば大人顔負けの経験を彼らは積んでいる。
立命館宇治は中学3年生の夏に学年約180名全員を2週間ほどオーストラリアに留学させるプログラムがある。ここまで国際教育に注力している学校は日本広しといえど、多くはない。
3食に寝室付きで月15~20万円程度
そんな立命館宇治の教員陣から連絡を受けたのは昨年夏のことだった。まずセブ島への現地視察を行い、実施校を選定。プログラム参加費用を確定したうえで、生徒及び保護者向けの説明会を実施した。
国際教育の先駆者である立命館宇治の英語教員はつねに新しいものを取り入れる姿勢を持っている。彼らは中学3年時のオーストラリア留学の前段階である中学2年生に向けて、セブ島留学の導入を難なく決めたのだった。
セブ島留学についてはご存じの人も多いと思うが、まだ物価も安く人件費も安価なフィリピン人英語講師によるマンツーマンレッスンが最大の魅力な英語留学だ。3食に寝室付きで月15万~20万円程度の留学費用で学べるのだから驚きだ。かつては誰も知る由もなかった留学地だが、この数年で留学生数は激増。年間3万人以上の日本人がフィリピンで学んでいる。その需要に伴い日本人経営の語学学校も急増し、競争が激しくなってきている市場だ。その中心地がセブ島である。
渡航前にはスカイプ英会話によって準備を行った立命館宇治の中学生たちのセブ島留学でのカリキュラムは朝7時から朝食、8時から1日6コマのマンツーマンレッスンと2コマのグループレッスンが軸である。レッスン終了後の18時から夕食があり、19時からは2コマの自由参加のナイトグループクラスを実施した。最大で10コマという、まさに英語漬けの環境だ。通常のレッスン以外にも英語講師から出される宿題や、予習復習、そして日々の英語日記にも取り組んだ。
大人でも音を上げるような英語漬けの日々だが、中学生である彼らはつねに笑顔にあふれていた。学校で学んでいる英語を、日本語が通じないフィリピン人講師と思う存分話すことができるからだ。授業初日は正直、思うように英語が出てこなく戸惑ったり、悔しい思いをした生徒もいたようだ。
しかし、3日目頃からは言いたいことが言えるようになってきたという声を聞くようになり、彼ら自身が手応えを感じていたようだ。月曜から金曜まで英語漬けとなった後の土曜日にはセブ市街にあるショッピングモールへと移動し、お土産などの買い物を楽しみながら英語を日常生活で使うイメージを持ってもらえたと思う。その翌日の日曜日の朝のフライトで彼らは日本へと帰国した。文字どおり短期英語留学ではあったものの、引率した教員も確かな手応えを感じたようだった。
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