中学生が行く「セブ島英語短期留学」の舞台裏 大学入試改革が英語教育の大転換をもたらす
引率の中島先生に留学後の感想を尋ねると、次のような反応があった。
「事前研修のスカイプ英会話のときから、とにかく英語を口に出すことがいちばん大切だということを生徒に伝えてきました。1週間という短い期間で語彙や文法の飛躍的な習得を目指すことよりも、間違いを恐れずに英語を使ってみる体験を多く持たせたかったのです。留学を終えた生徒たちも自分たちのコミュニケーション能力の上達に驚いていましたし、実際の授業でもネイティブ教員との会話の中で、反応の速さ、相づちの自然さ、自信に満ちた話し方を身につけている姿に本当に驚いています」
私はこれまで数多くのセブ島留学生と接してきたが、その多くは大学生や社会人という大人だった。彼らは1週間の短期留学の場合、「1週間では時間が足りなかった」と発することが多い。しかし、今回の中学2年生たちは違ったのだから驚きだ。多くの生徒が1週間という短期の中でも自分の成長を実感して帰国しているのだ。英語を学ぶのは早ければ早いほうがいいとは言うものの、ここまで明らかな違いを見せつけられるとは思わなかった。
セブ島留学ブームは拡大していく
中高生向けのフィリピンでの英語留学はまだまだ黎明期だ。しかし、日本の英語試験の変化に伴って、確実に需要が伸びていくことは間違いない。特に「話す」能力を高めるためにはマンツーマンによって、短期間で大量にアウトプットを実施できるセブ島留学は魅力的だ。フィジーやシンガポール、マレーシア、インドなどもアジアの英語留学地としてはあるが、マンツーマンレッスンを実現しているのはフィリピンのみだ。当面セブ島留学ブームは拡大していくであろう。このような事例はひとつだけではない。今年から数多くの中学校・高校・塾がセブ島留学を決めて動き出している。
まさに子供向けの英語教育は変化の中にある。セブ島での英語留学に限らず、さまざまな英語学習サービスや電子デバイスが発達普及し始めている。日本の英語教育業界は子供たち向けの多種多様な英語学習の選択肢の中から、最適な学習手法を見つけ出し、それらをどのように普及していくのを試行錯誤しながら進めていくことになるだろう。
もしかすると、子供の英語教育についてはそこまで大きな心配をする必要はないのかもしれない。一方で懸念するべきは現在の20代、30代の社会人だろう。「話す」「書く」というアウトプットを訓練してきていない世代であるにもかかわらず、ビジネスの前線では実践的な英語コミュニケーションが求められていく時代のうねりがある。それに気づいてフィリピンで英語留学を繰り返す社会人層はかなり多い。最近では大手企業もフィリピンでの英語研修を本格的に導入実施し始めている。
現在の子供たちの英語力が高まれば高まるほど、現在の若手社会人たちの10年後、20年後の仕事領域は限定的になっていくことだろう。いや、むしろ実践的コミュニケーションとしての英語を身につけた若者が就職する際に選んでもらえる企業・組織体となっているかどうか、その時を見据えて真剣に経営者は考えなくてはならないのかもしれない。
世界を舞台に活躍したい日本の優秀な若者は、日本企業だけではなく、欧米やアジアを含む世界中の企業と働き方を選べる時代へと突入していくのだから。
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