コンビニ弁当の値引きは本当に広がるのか--激戦区に見る値引き販売拡大の“火種”

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競合するサークルKにも値引き販売が波及

Aさんの店に程近いサークルK。同店でも値引き販売を、Aさんが始めた5日後に踏み切った。「ゴミ問題や廃棄ロスが経費を圧迫するため、1年以上前から本部には要請していた。競合店がやる以上、対抗する必要がある。本部からは渋々ではあるが、了承を得た」。同店のオーナーはそう語る。

川崎市内の大手コンビニ4社の加盟店を対象に電話調査したところ、回答のあった114店のうち、実際に値引き販売をしている店舗は8店だった。そのうち半数近くは、公取委の排除命令があった6月22日以降に値下げを始めている。

「値下げした商品しか売れなくなる」「利益が減り悪循環に陥る」。大半のオーナーはそう答える。確かに廃棄負担が減るとはいえ、オーナーにとって、値引き販売は両刃の剣だ。「以前値引きをやっていたが、かえって売れなかった。価格よりもおいしいから買ってくださるお客様が多いと思う」(川崎市内の別のセブンオーナー)という声もある。また、値引きの作業には大きな手間がかかるというのも実際のところだ。

7月中旬に、全国のセブンオーナーを対象に行ったアンケートでも、値引き販売には反対という意見が大勢を占めた。事実、セブンの加盟店約1・2万店のうち、現在値引き販売をしている店は100店程度。公取委の排除命令後、一時170店ほどに増えたが、現状では漸減傾向にある。

それでも、近隣の店舗が値引き販売を行っている場合は事情が違う。現在値引き販売を検討中というあるセブンのオーナーは「近くのローソンが値下げを始めて夕方の客が減った。競合対策のために値下げが必要かもしれない」と語る。

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