200位台では、1129位から231位のSHOEI(3313点)、1202位から239位へ上昇した川崎汽船(3310点)などが順位を大きく上げた。
10回目となる今回のランキングは、自動車関連など製造業の活躍が目立った。これまで上位の常連だった国際石油開発帝石、ヤフー、NTTドコモはトップ10から落ち、富士重工業、ダイキン工業、村田製作所といった製造業の新しい顔ぶれが増えつつある。
今回の上位5社はいずれも高い技術力で世界トップの商品を持ち海外売上高が多いという特徴を持つ。たとえば、海外売上高が最も高いのは村田製の92%。続いてファナック83%、富士重77%など海外で大きく稼いでいる。しかも富士重以外は企業間のビジネスが主力またはほとんどのBtoBモデルの会社が多い。
日本国内は人口減少で内需型企業は市場の縮小で競争が激しさを増し高い成長は難しいと言われる。一方で海外は成長市場も多く、チャンスは無限大。日本の高い技術力をベースにしたBtoBビジネスは競争相手も比較的少なく勝負できる分野も多そうだ。
今回はこうしたBtoB企業の財務面の強さが明らかになってきた。これからの日本を牽引する産業は実は部品や装置といったこれまで少し目立たない分野である可能性は高い。10年や20年後の将来、日本企業の序列は大きく変わっているのかもしれない。
304位から2000位までのランキングはこちらをご参照ください
●第10回新・企業力ランキング(東洋経済・上場企業財務評価)について
東洋経済新報社「財務・企業評価チーム」が作成。アドバイザーは明治大学商学部・大学院商学研究科の山本昌弘教授(研究担当副学長)。東洋経済が保有する財務データを使い、多変量解析の主成分分析手法で成長性、収益性、安全性、規模の4つの分野で評価した。
対象会社は原則として2015年9月1日時点に上場している一般事業会社で、銀行、証券、保険、その他金融を除き、各新興市場を含む。決算期は2015年3月期までが対象。財務データは上場後の決算で直近3期平均(最低1期は必要)を使用。指標データなどで分母がマイナスになり計算ができない場合、その期は「計算不能」となる。
決算ベースについては、各期とも連結優先。ただし、連結開始や廃止などで連結と単独が混在する場合もある。また、変則決算がある場合は6カ月以上の決算期のみ使用。売上高、営業利益、経常利益、当期利益などのフロー項目は12カ月に調整した。
分析手法として使ったのは多変量解析の主成分分析。この手法は多数の変数を要約し、少数の情報で全体の特性を代表させることができる。財務データのような多数存在する項目を少ない情報に集約でき、総合評価が可能になる。
主成分分析で求められた第1主成分得点を偏差値化し、異常値をならすために最大70、最小30に変換。さらに最高1000、最低500に調整して各分野の得点とした。4つの評価分野の各得点を合計したものが総合得点となっている(総合得点の最高は4000点)。
■ランキング算出に使用した財務指標
【成長性】売上高増減率、営業利益増減率、営業キャッシュフロー増減率、総資産増減率、利益剰余金増減率
【収益性】ROE(当期利益÷自己資本)、ROA(営業利益÷総資産) 、売上高営業利益率(営業利益÷売上高)、売上高当期利益率(当期利益÷売上高)、営業キャッシュフロー
【安全性】流動比率(流動資産÷流動負債)、D/Eレシオ(有利子負債÷自己資本)、固定比率(固定資産÷自己資本)、総資産利益剰余金比率(利益剰余金÷総資産)、利益剰余金
【規模】売上高 、EBITDA(税引き前利益+支払利息+減価償却費)、当期利益、総資産、有利子負債
注)EBITDAの支払利息と減価償却費はキャッシュフロー計算書掲載の数字を使用
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きしもと よしひろ / Yoshihiro Kishimoto
1996年東洋経済新報社入社。以来各種企業調査にかかわる。『CSR企業総覧』編集長として、CSR調査、各種企業評価を長年担当。著書に『指標とランキングでわかる! 本当のホワイト企業の見つけ方』など。2023年4月から編集局記者、編集委員、『本当に強い大学』2023年版編集長。
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