スカイマークが検討、国際線参入の現実味

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一方、スカイマークでは、今年9月にパイロットのフライトシミュレーターや客室乗務員訓練施設を導入する予定で、「欠航問題にメドがつく」とする。地方路線の拡充も打ち出し、12年までに小松、中部、熊本などに就航を予定。さらに保有航空機を現行の11機から、近く12機に増やし、国交省が認める「大手」の仲間入りが確実となる。

航空法101条にある国際線参入の許可基準には、「適確に遂行する能力を有すること」などと記されており、明確な基準はない。いわば参入の可否は国交省のさじ加減次第だ。ただ、難色の背後には、経営危機にあえぐJALへの“配慮”も見え隠れする。

最大の障壁はJAL?

国際線は1986年のANA参入まで、JALの独壇場だった。その後も国際線発着調整業務をJALが国交省から一手に担っていた。事務局はJAL本社で、歴代事務局長もJAL社員。諸外国と比べて不透明との批判を受けて、体制が見直されたのはつい昨年のことだ。

国際路線には、発着枠を半年単位で8割以上使わない場合、枠を没収して他社に振り向けるルールがある。国交省は今年6月、需要低迷を理由に同ルールの適用を10月下旬まで停止すると発表した。これにANAの伊東信一郎社長は「国際線の発着枠が余っているなら使いたい。現状では大いに不足感がある」と反発する。成田の発着枠シェアはJALの約25%に対し、ANAはその半分にも満たない。このため、業績悪化で減便・休止を加速するJALを意識した措置とも評される。

新興航空会社のスターフライヤーなど、国際線に参入意欲を示す会社は後を絶たない。就航実現には2国間協定という障壁もあるが、「JALの利権が大きい国際線で参入を増やせば、JALが苦しくなるからだろう」(業界関係者)との声もある。消費者不在で新陳代謝の進まない航空行政に、業界の異端児スカイマークが風穴を開けられるのか。審判の日は近い。

(冨岡 耕 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

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