メルテックス岩城慶太郎新社長に聞く--今期の黒字復活は十分可能
メッキ薬品や電子部品の表面処理薬品メーカー、メルテックスの社長に、3月に副社長就任したばかりの岩城慶太郎氏が昇格(8月28日付け)する。岩城氏はメルテックスの筆頭株主である医薬品商社イワキの創業家出身。メルテックスは、世界規模の自動車、デジタル家電の生産調整の影響から前2009年5月期に営業赤字に陥り、人員削減と工場再編等の構造改革費用計上で大幅な最終赤字となった。岩城次期社長に、メルテックスの再建策と今後の見通しについて聞いた。
--前期末から希望退職、埼玉・大宮工場から熊谷工場への生産移管などのリストラクチャリングを実施しています。これは岩城氏の副社長就任と同時進行のように見えます。
もともと社内に多少の準備はあったが、具体的にゴーサインを出したのは私だ。ITバブル崩壊の時ですら、工場稼働率は2~3割減だったのが、今回は2~3割しか動かなくなって、会社としての負の部分が色濃く見えてきた。
当社は、技術も製品も工場も何もかも自前で持たなければ気が済まない自前主義が強い。その中には劣化した資産もあるわけで、景気が悪くなると機動力の弱さ、資産の持ち過ぎとして表面化する。そうした資産を思い切って手放して方向付けさえすれば、業績回復は早い。
--リストラ費用は前期に計上し、今10年5月期は黒字転換を目指す会社計画です。達成の自信は。
業績は最悪期を脱して、表面処理薬品の販売も徐々に戻ってきている。人件費削減等の一連の構造改革の業績寄与は8月からで、計画達成は十分可能と見ている。
--緊急対策としての手は打ったわけですが、メルテックスにとっての中期的な課題は何でしょうか。
3つある。1つは、当社はメッキ薬品会社の中でも、デパート的な総合薬品メーカーとして多くの品揃えをしているのが特徴。ただ、それだけでは物足りない。何か会社の太い柱となる製品が2、3本欲しい。得意領域を見つけるために、技術導入やアライアンスなども検討したい。
2つめは、海外売り上げが競合他社に比べると見劣りする。東アジアを中心に展開を図っていく。
3つめは、機械装置を販売する東京化工機の再建。東京化工機も構造改革を行ってスリムになったが、根本的な立て直しには至っていない。もともと当社の製品や技術とのシナジーを狙って買収したわけだから、一体化したアプリケーションを早く作ることが、本質的な東京化工機の再建になると考えている。
--株式市場では時折、イワキによるメルテックスの吸収統合話が出てきます。
イワキは医薬品商社、メルテックスはメッキ薬品メーカー、別個の事業領域の会社で一緒になってもシナジーはない。イワキはメルテックス製品の総代理店ではあるが、それはイワキにとって商売の1つですべてではない。ただ、当社がイワキにとって重要な関連会社であることも間違いないはずで、今後も連係は深めていく。
(いわき・けいたろう)1999年慶応大総合政策卒、2002年アクセンチュア入社。09年3月メルテックス副社長。東京都出身、31歳
(鶴見 昌憲=東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2009.05 6,832 -364 -261 -1,417
連本2010.05予 7,100 200 280 520
連本2011.05予 7,500 220 300 200
連中2008.11 4,466 146 185 -27
連中2009.11予 3,300 30 100 350
-----------------------------------------------------------
1株益¥ 1株配¥
連本2009.05 -189.7 16
連本2010.05予 69.6 16
連本2011.05予 26.8 16
連中2008.11 -3.7 10
連中2009.11予 46.9 8
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