甘糟りり子、アンジェリーナ・ジョリーを語る 彼女をみてると、なぜか心がざわつく
乳房切除のニュースだけではない。映画の撮影を行ったというカンボジアから養子を迎えた時も、頭の固い保守的な私は、うがった見方をした。気まぐれなセレブリティが、めぐまれない子供をアクセサリーのように手に入れただけじゃないかと。
その後、エチオピア、ベトナムからも養子をとっているが、ブラッド・ピットとの間に実子も産まれている。彼女にとって自分で産んだかどうかは、それほど重要ではないのかもしれない。何かしらの縁で家族になったのなら、それをまっとうすればいい。夫婦だって、元々は赤の他人なのだから。あの家族を見ていると、そんなふうに思う。
アンジーが示した新しい選択肢
最近、友達との会話で「養子縁組」という言葉が時々出るようになった(私が考えているわけではない)。先日、著作の読者とやりとりする機会があって、そこでも話題になった。数年後にはもっと身近なものになっているだろう。私たちは結局、アンジーが示した新しい選択肢を受け入れている。
私が、「アンジェリーナ・ジョリー」という名前を認識したのは『ジーア/悲劇のスーパーモデル』という、アメリカのテレビ映画だった。なにげなくつけたテレビで流されていたけれど、主人公の女の子から目が離せなくなった。実在のスーパーモデルを描いたもので、ドラッグに溺れ、最後はエイズで亡くなるという物語。これがきっかけで、アンジーは人気女優となった。きっと、彼女も27歳ぐらいで非業の死をとげ、伝説になってしまうのではないかと思ってい た。ジャニス・ジョプリンやエイミー・ワインハウスのように。派手なタトゥーをして、元夫とお互いの血液の入ったペンダンドヘッドをしていた頃はそんなあやうさを漂わせていた。
けれど、彼女はもっともっとタフだった。自らのイメージを作り上げながらも、次々と壊していった。最新のアンジーはいつだって、受け手側の想像を超えている。
アンジェリーナ・ジョリー、現在、40歳。これほど「年齢」そのものが似合わない人もめずらしい。好きでも嫌いでもなく、彼女を見ていると、ただ心がざわつくのだ。
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