日本の総合化学業界の見通しはネガティブ 《ムーディーズの業界分析》
中東および東南アジアでは、オレフィン製品の生産能力は2008年後半から徐々に拡大している。各社は、石油化学事業における課題に対処する取り組みを加速しており、こうした取り組みが、新増設能力からのマイナスの影響に対する各社の抵抗力、および世界的なコスト競争力に差をもたらす、とムーディーズはみている。
また、効果的に多角化された事業ポートフォリオを背景に、収益の高い安定性を回復することが、引き続き格付けを維持するカギとなる。
収益性回復に向けた力強い取り組みが進められてはいるものの、数量の低迷を背景に、2010年3月期の業績回復は限定的とムーディーズは予想している。各社は向こう1~2年の設備投資を、減価償却費の範囲内あるいはそれよりはるかに小さい規模に抑制する計画である。各社は堅実な財務方針と銀行との緊密な関係により、財務の柔軟性を維持していくとみられるが、財務ファンダメンタルズの改善には時間がかかるものとムーディーズはみている。
そのため、低調な市況の下で総合化学会社が戦略を実行し、収益性と事業ファンダメンタルズの両面で良好な成果を上げないかぎり、格付けは向こう12~18カ月にわたって引き続き圧迫されるであろう。ムーディーズは、数量が2010年3月期の第3四半期から回復し始めるか、また戦略実行の成果を上げられるかどうかを注視していく。
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