ITエンジニアを待ち受ける大量失業の危機

期待の「IoT」需要はベンダーを素通りか

このとき筆者は次のようなことを話した。

① IT受託業は不況に強い。これまでに平成不況(1993~95年)、IT不況(2001~02年)、リーマン・ショック(2008年9月)を乗り切ってきた。
② それはIT受託業のビジネスモデルが人に依存しているため。景況に合わせて人員調整ができるし、非正規雇用を増やして給与総額を低減することもできる。生産設備も在庫もないので倒産ということがない。
③ この不況がもうちょっと続けばM&Aやビジネスモデルの転換、工学的手法の採用が進むのに、と思うころになると、景況が上向いてしまうのが残念。
④ これからユーザーはシステム統合とメンテナンスのフェーズに入る。都市銀行、大規模スーパー、コンビニチェーンなどのM&Aでシステム統合が必須になり、一方で西暦2000年問題クリア後に構築したシステムの総点検が始まる。このためゼロから開発する案件は減り、既存システムを運用しながら機能を追加していくことになるだろう。  
⑤ しかし、開発プロジェクトをいくつかの工程に分けて、原則として前工程が終わらないと次の工程に進めない「ウォーターフォール」型の開発スタイルは変わらない。なぜなら人事制度上の事情から、古いスタイルの情報システム要員という理由だけでリストラできないため。
⑥ テーマに即して結論を言うと、IT受託の仕事はなくならない。ただし儲からなくなる。
⑦ それだけに工学的手法の習得で生産性を高めること、ユーザーとダイレクトな関係を作ること、技術特性を生かした分業体制を整えることなどが重要になってくる。

 

2010年はデフレ型の景気後退が鮮明になってきた年で、IT受託業界には先行き不透明感が強かった。スマートフォンは現在のように普及していなかったし、iPadが発売されたのは同年の5月だった。むろん「IoT」という言葉は多くの人の視野に入っていない。

システムの概念は「いまさら」だが

IoTの類語にM2M(Machine to Machine)、CPS(Cyber Phisical Systems)などがあるのは周知の通り。さかのぼれば要素技術の用語としてRFID(Radio Frequency IDentifier)やIPv6(Internet Protocol version6)、Wi-Fiなどがあり、利用形態としてスマート・コンピューティング、ユビキタス・コンピューティング、ウェアラブル・コンピュータといった呼び名があった。

1980年代からIT業界やITのトレンドを観察している人にとっては「いまさら」の概念だが、センサーの普及度が決定的に違う。2010年まで一般の消費者が持ち歩いていたのは携帯電話(いわゆるガラケー)だ。それがスマートフォンになり、自動車をはじめ、さまざまな機器にセンサーが装備されている。加えて映像認識とデータ解析の技術が高度化した。

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