長期金利は峠を越えた!? 財政改革混迷で高まる「悪い金利上昇」の圧力
主要各国共に景気の不透明感は強く、リフレ政策(=通貨切り下げ競争)はしばらく続く見通し。これがソブリン(政府)リスクを高め、長期金利の上昇圧力を生み続ける。
財政改革なければ 早晩、市場は反乱へ
現状、国債の供給圧力を需要面から吸収しているのは、中央銀行の国債買い入れとともに、銀行など金融機関のカネ余り、資金運用難だ。その背後には、日本の膨大な貯蓄があり、経常黒字がある。政府が大赤字でも、民間の企業や個人が赤字を穴埋めしてくれる。その意味で国債は日本の借金であると同時に、日本の資産でもある。双子の赤字を抱える米国が連邦政府債務残高の48%(08年末)を外国資金に依存しているのに対し、日本国債は外国人保有率が8%(08年9月末)。ほぼ国内でファイナンスを完結している。
こうした状況もあるため、債券相場で弱気派の島本氏や森田氏でも、長期金利は今後1年、せいぜい1・7~1・8%が上限との見方だ。
しかし、過去10年続いた長期金利2%の天井が、今後も保証されたわけではない。「日本のマクロ的な資金フローが変わってきている」(森田氏)ためだ。昨年来、貿易収支が赤字になり、経常黒字は大幅に減少した。経済危機が終焉すれば復元するとの見方もあるが、長期的トレンドとして日本の少子高齢化に伴う貯蓄減少、経常黒字縮小の可能性は高い。資金需要の面からも国債市場の不安要素は強まっている。
「国債は悪く言えば“先送りの道具”」(高田氏)。自分の国内でやり繰りできている間に、改革をやらなければ、遅かれ早かれ、債券市場の大反乱は確実に日本を襲ってくる。
(週刊東洋経済)
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