長期金利は峠を越えた!? 財政改革混迷で高まる「悪い金利上昇」の圧力

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長期金利は理論上、「期待潜在成長率+期待インフレ率+リスクプレミアム」で構成されるが、リスクプレミアムが財政要因で膨らみ、長期金利を押し上げている。それでも金利が下がるのは、それ以上に期待成長率と期待インフレ率が低下したためと解釈できる。デフレ懸念から来る「悪い金利低下」が「悪い金利上昇」を相殺したようなものだ。

「悪い金利上昇」のもとである財政悪化自体は、麻生政権下で再び加速し始めた。今年度一般会計の補正後の国債発行額は44・1兆円と、税収の46・1兆円に迫る規模。しかも、当初予算どおりの税収が実現する可能性は低く、決算段階では国債発行額が税収を上回るという、前代未聞の事態に陥るのは必至だ。

「骨太方針09」では、プライマリーバランスの均衡目標が11年度から、10年後まで先送りされた。未曾有の経済危機という特殊条件下とはいえ、小泉政権以来の財政改革路線は完全に頓挫した。

こうした状況は、98年に橋本政権の路線を180度転換した小渕政権時を彷彿させる。当時は、ムーディーズの日本国債格下げや「資金運用部ショック」もあり、長期金利は一時、1%割れから2・5%近くへ急騰した。それに対し、「今回は財政悪化の中でムーディーズが格上げするなど、アラームがない」(みずほ証券の高田創チーフストラテジスト)。あとは、市場がいつ、どんな形で“反乱”を起こすかである。

今回特筆すべきは、長期金利の上昇が世界各国で同時発生していることだ。米国では年初2%台前半にあった長期金利が6月10日に一時4%に乗せた。米国の09年財政年度の財政赤字は1・8兆ドルと、08年度の4548億ドルからケタ違いに急増する見込みだ。英独でも6月にかけ長期金利は上昇カーブを描いた。S&Pは5月、英国債の格付け(現在トリプルA)の見通しを「ネガティブ」に降格。米国債(同)にも、格下げ懸念が台頭している。

「住宅ローンや社債、CPなどの資産購入を通じた各国の流動性危機対策によって、リスクが民間から政府・中央銀行へ転嫁された。政府のリフレ政策は本来、通貨切り下げになるが、今回は世界中がこれをやっており、その弊害が通貨よりも長期金利に跳ね返っている」。BNPパリバ証券の島本幸治チーフストラテジストはそう解説する。

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