民主党は消費者所得をどこまで増やせるか--リチャード・カッツ
民主党が総選挙で勝利を収めたら、自民党とは違った経済政策を打ち出すのだろうか。民主党はさまざまな“マニフェスト”や金融危機に対応する“行動計画”を発表している。しかし、民主党の中には明確なアイデアを持った人はほとんどいないのが実情である。その理由は、民主党は政策の代替案を提示するよりも、官僚の権力をののしるほうが好きだからだ。
さらに民主党が本当に独自の選挙公約を掲げることができるのかも不明だ。なぜなら、民主党は内部にさまざまな反改革派グループを持つ連合体だからである。このままでは日本の漂流はいつまでも続く可能性がある。
しかし、民主党が選挙公約を実施することができれば、日本は大きく変わるだろう。同党は「輸出に過度に依存している日本経済を内需主導の経済構造に転換することが不可欠である。この目標を達成するためには家計部門の可処分所得を増やす大胆な政策を実施しなければならない」と主張している。
支持する、支持しないは別にして、その目標は正しい。日本が世界で最も厳しい景気の落ち込みに直面している理由は、輸出に過度に依存してきたからだ。民主党は、今後2年間で減税や育児手当、授業料補助などに21兆円支出する政策を提案している。その財源として、自民党とは支出対象を変えることによって、現在よりも歳出が増えることはないと主張している。
民主党の政策では、21兆円の3分の2は家計部門、特に出生率を引き上げるために子供のいる家庭に直接支出されることになる。以下に主要な歳出項目を列挙してみる。