民主党は消費者所得をどこまで増やせるか--リチャード・カッツ

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 民主党の多くの議員は、個人消費を増やすには労働市場の規制緩和の動きを逆転させ、“終身雇用”を強化し、労働者の雇用を守ることだと主張している。一方で、同党の他の議員は経済成長のためには労働の流動性向上が欠かせないことは認識しているが、それと同時に賃金を上げて消費者の支出を増やし、転職を容易にするためのセーフティネットの構築も行わなければならないと考えている。民主党は、こうした党内の意見の食い違いを隠して、党の統一を促進するような綱領を発表している。

すなわち、(1)正規社員と非正規社員を賃金と労働条件で差別することを禁止する。(2)2~3年かけて最低賃金を現在の時給703円から1000円に引き上げる。日本の最低賃金は先進国の中で最も低く、日本の平均賃金に対する最低賃金の比率はわずか30%であるのに対して、先進21か国では40%である。経済が成長する社会では、最低賃金の引き上げを緩やかにすることで雇用喪失を最低限に抑えている。しかし、日本は厳しい不況に見舞われているため、失業率の上昇を招きかねない民主党の最低賃金の引き上げ目標の達成を先送りしなければならないかもしれない。(3)非正規雇用者にも失業保険を適用する。その際、企業や従業員に過大な保険金を負担する事態を避けるために政府の失業保険給付の支出を増やす。

野党は、好きなことを何でも言うことができる。しかし今年は、民主党が実際に何ができるのかを示さなければならないだろう。

Richard Katz
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ等にも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

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