高コスト体質の百貨店業を根本から変えていく--近鉄百貨店・飯田圭児社長
2011年に新店や店舗改装が相次いで予定されており、「大阪百貨店戦争」と呼ばれる大阪の百貨店業界。とはいえ、足元の売上高は前年比2ケタレベルで落ち込むなど、百貨店は消費不況の泥沼であえいでいる。
そのなかで、梅田、ミナミに次ぐターミナル・天王寺をおひざ元とする近鉄百貨店はどう活路を見出すのか。今年3月に就任した飯田圭児社長は、「東洋経済オンライン」との単独インタビューで、従来の百貨店業を根本から変えるべき時期に来たと指摘する。
--消費不況が続き、百貨店にとっても非常に厳しい状態だが、足元の状況はどうか。
新年度開始直後の3~4月は非常に厳しかった。5月に入ってゴールデンウィーク期間は比較的ましだったが、その後の新型インフルエンザの流行でその勢いも落ちた。また、阿倍野本店の改装で従来の東館のみの営業となり、営業面積も37%減少している。本店を除くと各支店は、厳しさは変わらないが業界平均よりましではないか。規模は小さいが東大阪店のように前年比でプラスになっている店舗もある。また、阿倍野本店の南側に08年9月に開業した新館「アンド」は前年比5~10%増と好調だ。6月は比較的堅調で、3~5月期よりは改善傾向にある。来店客数も増えている。
--飯田社長体制になっての目玉がマーケティングや商品戦略を一元化する「MD統括本部」だが、立ち上がりはどうか。
5月末に正式発足したMD統括本部の下に7つのグループを置いた。商品担当別に4グループ、そして商品戦略、店舗リーシング、新店準備で計7グループだ。商品戦略グループについてはマーケティングする部門と新営業情報システム(商品情報と顧客情報をミックスさせたもの)を担当する部署があり、このシステムは6月から本格稼働している。また、マーケティング部門は女性6人の専任チームが担当している。それぞれ商品担当を決めて社会状況や生活スタイル、ファッションスタイルなどの変化を時系列に把握して、次のシーズンでどのように変わるかを読み取るセクションにした。
日々の商品の売り上げなどの数字を追い掛けながら、商品の価格帯がどう変化しているか、どういうものが売れなくなっているかなどを把握、MD統括本部が13店舗別にデータを分析し、各店の方向性を明確にしてエリア別の顧客ニーズに合ったマーチャンダイジングをしていけるようにする。
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