「商売の本質を知らない人」の浅すぎる思慮 「インバウンド狙い」という時点でアウト!

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石川:もうひとつは、「移動スーパー」です。特に田舎でお店が近くになくてお買い物ができない人が結構増えています。高齢者も増えている中で社会的な問題だと言われていて、どうやったら解決できるかということで、注目されているサービスです。通販の世界で解消しようとすると、店で売るよりも持って行くとコストがかかるね、うまくいかないねって話で、あんまり広がってなかったところから、たぶんそこで、理科と社会をすごく考えたんだと思うんですよ。

「なんで店が近くにないとダメなんだろう。うまくいかないんだろう」って考えて、結局やったことってすごくシンプルで、スーパーの商品に10円高い値段で、私が売りに行きますと。仕入れはすごく単純で、小さな車にスーパーで買って仕入れてきたものを、10円高くして売る。家の近くで売るので、買うひとも便利だし、売るひとも、遠くのひとに売れるなら便利だし。実は売れなかったら戻してもいいんですよね。

戻してもいいので、それだと仕入れる人もリスクがかからないし、スーパーとしても販路が広がる。これが急に社会的な仕組みとして一部の地域で広がってきている。僕はすばらしいなと思う。

たぶんそんなすごい仕組みでもなんでもないんですけど、改めて「なんで家まで持って行ったらおカネがかかるんだっけ、やらないんだっけ」って考えていくと、結構そういうのってあるので、こういうシンプルな商売ってまだまだ増えると思います。

時代が変わればニーズが復活する

高橋:僕はこれを見て、思い出が一気に蘇ったんですけど。地元が秋田なんですが、その移動スーパーらしき販売車が、子供のときに毎日来ていたんですよ。で、いつしか全然来なくなって。僕の地元、秋田の山奥に、また来ているかわからないですけど、その頃と今、何が変わったのかなって思って。さっきおっしゃっていた、理科社会の、仕組みが整ったのか、それとも名前がよかったのか、何がよかったのかなと。

常見:今、高橋さんが言ったことって大事だと思っていて、環境の変化によって滅びる事業がある一方で、環境の変化によって復活する事業もあるじゃないですか。環境の変化によって復活する道筋もあるかな、と思います。

余談ですけど、私が会社員時代、新規事業コンテストに提案した案件は、その後、何らかの形で同じことを考えた人が実現しているんです。まあ、私の企画書も稚拙でしたが、環境が変わると、それも実現するのかな、と。

石川:続いて、「カーシェアリング」。カーシェアリングでなくても構わなかったんですが。

いろんな企業でお話するんですけど、「今こういう不を抱えています」っていう話はみなさんよく気づくことでもちろん大事なんですが、「5年後、10年後にどんな不があるでしょう」って話がなかなか出ないんですね。

そういう未来予想って、新事業を考えるときは本当に大事だと思うんですけど、カーシェアリングをするのって、なっていきそうな感じがするじゃないですか。でもそのときって、車に対してどんな不があるのかなと、いっぱい想像しないといけないと思うんです。

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