次世代エコカーは混沌状態の自動車業界、全方位戦略を貫く日本勢

自動車業界の行方を占ううえでカギとなるのは「環境」。今後、日米欧の環境規制は一段と強化される結果、それをクリアしなければ販売できなくなるからだ。この技術革新に乗り遅れたメーカーは次なる世界再編で淘汰の対象になるというのが、業界の一致した見方である。

「来るべきものが来た」。日本自動車工業会の張富士夫会長(トヨタ自動車会長)はショックを隠しきれない。昨年末、欧州委員会は2012年から導入する自動車の二酸化炭素(CO2)排出量規制と違反企業への罰則規定を公表した。その内容の厳しさを前に、業界では環境技術のブレークスルーを急がなければならないという空気が一気に充満した。

欧州の新規制では、走行1キロ当たりのCO2排出量は130グラム以下。米国より格段に厳しい日本の15年度燃費基準16・8キロ/リットルですら、CO2排出量換算で135グラム。欧州は、日本を上回る世界で最も厳しい規制になる。しかも違反すれば、1台で超過1グラム当たり最大約1・5万円の制裁金が科される厳格さだ。

この燃費規制に対応するには燃費のよい小型車の販売比率を増やしたり、車体を一段と軽量化したりする必要があるが、そうした中で欧州での技術的な切り札と見込まれるのが、ディーゼルエンジンだ。

長距離高速走行が普通の欧州では、すでにディーゼル乗用車が新車販売の5割を占めるまで拡大した。軽油を燃料とするディーゼル車は、ガソリン車よりも燃費に優れ、CO2の排出が3割近く少ない。このディーゼル技術を進化させるのが、独ダイムラーなど欧州メーカーの戦略の中核だ。

欧州では従来、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などの排ガスに対してはあまりうるさくなかったが、こちらも09年に導入される「ユーロ5」で、日本や米国並みに厳しく規制する。高いハードルを越えるべく、欧州メーカーは独ボッシュなどの部品会社と連携し、燃料噴射装置や新触媒などコア技術を開発。低公害かつ燃費もよい「クリーンディーゼル」車の投入を急いでいる。


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