次世代エコカーは混沌状態の自動車業界、全方位戦略を貫く日本勢

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米国はハイブリッドが優勢、鼻息荒いトヨタ、GM

今年1月に開催された世界最大の米デトロイトモーターショーも、その内容は「環境」一色だった。ただし、米国での環境技術のリード役はディーゼルではなく、ガソリンエンジンと電気モーターを併用するハイブリッド技術だ。ハイブリッド車もディーゼル車と同様、ガソリン車より3割程度燃費が優れる。

米国で「プリウス」や「カムリ・ハイブリッド」を大ヒットさせたトヨタは、今やドル箱の米国販売のうち、1割をハイブリッド車が占める。そのトヨタが10年までに発売するとモーターショーでブチ上げたのが、プラグイン・ハイブリッド車だ。

同ハイブリッド車は家庭用電源から充電でき、電気のみで走行できる距離が長いため、従来のハイブリッド車よりCO2排出量がさらに少ないのが特徴だ。技術的なカギを握るリチウムイオン電池は、発火問題などの安全性が懸念されてきたが、「量産化にメドをつけた」(トヨタ首脳)と自信を見せる。

米ゼネラル・モーターズ(GM)も、同モーターショーでプラグイン・ハイブリッド車「サターン・ビュー・グリーンライン」(右上写真)の実物を見せつけた。GMも同様に10年までの商品化をメドとする。BMWなど欧州勢も次々とハイブリッド車を公開した。

ディーゼルに重点を置く欧州市場、ハイブリッド中心の米国市場。この流れが強くなる中、世界市場に展開する日本車メーカーとしては、全方位戦略を基軸とするしかない。

ハイブリッド車で先頭を走るトヨタは、ディーゼル技術でも優位にあり、06年末のいすゞへの資本参加で新たな開発・生産リソースも手に入れた。ホンダは小型車ではハイブリッド、中型車以上ではディーゼルと車体ごとにすみ分ける。09年には新型ハイブリッド車を投入、10年をメドにハイブリッド比率を新車販売の1割に拡大させる構想を持つ。

環境面で出遅れていた日産自動車も、最近、動きが活発だ。ハイブリッドはトヨタの技術供与から独自開発に修正、プラグイン・ハイブリッド車の開発も加速している。ディーゼルでは、仏ルノーとの協業を武器とし、今秋には一足早く人気のSUV(スポーツ多目的車)「エクストレイル」でクリーンディーゼル版を日本に投入する計画だ。

環境技術は、どのメーカーも各市場で異なるものを併走させざるをえず、どこまで持久戦に耐えられるかが浮沈を左右するだろう。日欧メーカーの優位は明らかだが、その一方で米国のフォード、クライスラーの劣勢が鮮明になりつつある。

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