ゴルフ場でボウリング!? 多種多様な米国のゴルフ場

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プロゴルファー/小林浩美

 ツアーに出ている頃、休みの日の雨は最高だった。気持ちがゆっくりできる。時間も景色も止まったように静かになって、家でのんびりできるから。ところが、晴れたら気が焦る。自分だけのんびり休んでいたらみんなに置いていかれるような気持ちになって、つい練習してしまう。ツアーを離れた今、休みは晴れたほうがよい。遊びに出かけるときは、やはり晴れたほうがよいのだ!
 これまで米国ツアーを13年間参戦して、試合でさまざまなタイプのゴルフ場を訪れた。

いちばん難しかったコースと言えば、ペンシルバニア州にあるオークモントカントリークラブ。私は1992年全米女子オープンでプレーした。男子の全米オープンも何度も開催されている。中途半端な技術ではコースにビシッとたたきのめされてしまう。最も印象深いホールは、「教会の椅子」と名付けられたバンカー群があるパー4。セカンド地点の上りフェアウエイに長細いバンカーが教会の長椅子のように幾重にも並んでいる。2010年には、また全米女子オープンが開催される。

日本になくて大好きなコースの一つと言えば、砂漠の中のゴルフ場。3メートル程の高さの大きな太いサボテンがあちらこちらに点在している。そのサボテンたちが、ボールの飛行線上にあると滑稽だ。真ん中の太い部分のあちこちにボールが埋まり、また、飛んでいくボールに削られた跡も無数についている。打ち込まれ、たたきのめされてもちゃんと立っているのだ。

試合開催コースの格式も多様である。パブリックで格安料金のゴルフ場から、大統領ですら簡単にメンバーになれない超限定のコースまでと幅広い。クラブハウスでおもしろいと思ったのは、設立して100年以上経つ由緒あるニューヨークのゴルフ場の地下に、3レーンのボウリング場が設置されていたことだ。メンバー専用ボウリング場があるとは驚いた。また同様に、伝統あるゴルフ場でプロショップの横が床屋になっていたところもある。プレーのついでに散髪している姿があった。よくあるのはトランプルームで、最近のゴルフ場にはトレーニングジムも備わっている。米国のゴルフ場は社交場としての意味合いが大きい。

ジョージア州で最も格式が高いのは、マスターズが開催されるオーガスタナショナルである。その創設者であるボビー・ジョーンズがアトランタ市内に造り、初代理事長を務めたのがピーチツリーカントリークラブ。ここのメンバーになるのもすこぶる難しい。そこでは、スタート時間は特になくいつでもプレーが開始できる。乗用カートでフェアウェイをガンガン走ってボールのそばまで行くのは普通だが、ティグランドでもボールの真横に乗りつける。グリーンではカラーまで乗り入れた!! これには私もビックリ。ここのゴルフ場では許されているらしい。

雨の日に、ふと浮かんだ思い出である。

プロゴルファー/小林浩美(こばやし・ひろみ)
1963年福島県生まれ。89年にプロ初優勝と年間6勝を挙げ、90年から米ツアーに参戦、4勝を挙げる。欧州ツアー1勝を含め通算15勝。現在、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)理事。TV解説やコースセッティングなど、幅広く活躍中。所属/日立グループ。
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