鴻海が韓国SK財閥と密かに進めていること シャープ買収に名乗りを上げた企業の戦略
この計画通りにいけば、SKはITサービス業中心の事業体質を改善でき、グローバル市場で新たなビジネスチャンスをつかむことができる。鴻海グループは中国に約10カ所の工場を置くほか、ブラジルやメキシコ、インド、マレーシア、欧州などに数十カ所の工場がある。雇用者だけでも150万人。売上高も年間1325億ドル(約15兆円)で、アップルやサムスンに続く世界3位となる額だ。
スマートファクトリー計画の始まりは、1年7カ月前に遡る。2014年6月に背任罪で拘束・収監されていたSKグループの崔泰源(チェ・テウオン)会長が、自ら保有するSKC&Cの株式4.9%分を鴻海グループに売却した。サムスンと韓国を嫌う「反韓派」として有名な鴻海の郭台銘会長が、SKグループの支配構造で頂点にあるSKC&Cの株式を5%近く持ったことに大きな関心が寄せられた。昨年8月、SK(株)がSKC&Cと合併して統合し、鴻海の保有率は3.41%に調整された。
株式売却当時、獄中にいた崔会長は「中国市場で鴻海とのパートナーシップを活用したビジネスチャンスを探せ」と注文したという。その後、両者の協業はスマートファクトリーとして具体化した。昨年5月、鴻海とSKC&Cは7対3の比率で720億ウォン(約67億円)を投資して合弁会社「FSKホールディングス」を香港で設立してもいる。
「反韓派」の郭会長と3年で蜜月関係になったSK
鴻海とSKの提携には、郭会長と崔会長の「関係」が土台にあった。二人は2012年ごろ、三宝(サムボ)コンピュータ(TriGem)創業者であるイ・ヨンテ会長の息子であるTGアンドカンパニーのイ・ホンソン会長の紹介で初めて会った。当時、郭会長はアップル製品の90%以上を生産する「アップルパートナー」として、サムスン以外の部品供給候補者の情報を求めていたという。
アップルはサムスンからメモリーチップやディスプレーなど主要部品を供給されている顧客だが、サムスンを相手に特許訴訟を起こし、その後他の部品供給社を物色していた。崔会長は2011年11月に半導体メーカーであるハイニックスを買収したあと、大規模買収を決定し、メモリー半導体市場に勝負をかけようとしていた時だった。
三宝コンピュータは1990年代、パソコン生産を委託したことで鴻海と関係を持つようになった。あるベンチャー企業関係者は「二人のオーナーが会って、2、3カ月後に崔会長が2013年1月に拘束されたが、このニュースを聞いた後、郭会長は『それほどの捜査を受けているとは知らなかった』とひどく残念がった」と証言する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら