鴻海が韓国SK財閥と密かに進めていること シャープ買収に名乗りを上げた企業の戦略
翌年6月、崔会長が鴻海に株式売却したころ、郭会長は崔会長が拘束されている拘置所まで訪れ、崔会長と面会した。崔会長も昨年8月に特別赦免で出獄した後、最初の外遊先として台湾を選び、郭会長と会ったという。
3人の会長の出会いは昨年、韓国国内に中低価格携帯電話ブームを引き起こした「LUNA」(ルナ)に続いた。「LUNA」はイ・ホンソン会長が率いるTGアンドカンパニーが企画、フォックスコンが生産、SKテレコムが販売した。「LUNA」は6カ月で15万台が売れ、韓国の中低価格携帯市場のパイオニアとしての評価を受けている。
鴻海とSKC&Cの協力関係は、さらに強まりそうだ。鴻海は最近、SKグループの主要子会社であるSKテレコムが中国で行うヘルスケア事業にも関心を示している。SKテレコムは2014年7月、中国の深圳でソウル大学病院や現地の医療機関と提携し、SKヘルスケアR&Dセンターと深圳メディカルセンターを設立、中国ヘルスケア市場に進出した。
最近の鴻海は、移動通信とヘルスケアを結合したサービスにも目を向けている。鴻海にはSKの移動通信事業とその融合事業におけるノウハウが必要だ。これに対し、SK関係者は「ヘルスケア事業についてはまだ鴻海との提携が決定したものはない」と述べた。
鴻海の事業多角化戦略の矛先はヘルスケアにも
鴻海とSKの提携は、大枠から見ると鴻海の事業多角化戦略の一環だ。鴻海はこの数年間、主要パートナーであるアップルに対する売り上げ依存度を低めようとしてきた。小米(シャオミ)などとも関係を結ぶなど多元化し、飽和状態にあるスマートフォン以外の収益源を探している。とくにヘルスケア、スマートファクトリーなどソフトウェアとハードウェアの融合領域への関心が高い。
鴻海はさらに存在感を示そうとしているかのようだ。同社は2012年に「ニューヨークタイムズ」が鴻海の中国工場の劣悪な労働環境を問題にし、世界の下請け工場企業が持つ限界を実感した。その後、自社の生産基地を人件費が上がりつつある中国からインドへ移す一方で、いわば「ブランドショッピング」を行うようになった。強いブランドを持つ電子企業へ変身を遂げることを目指しているのだ。
その一つの例は、日本のシャープへの資本参加だ。郭会長は2月初旬、シャープへの資本参加に名乗り出た。すでに世界3位のLCDパネル企業・イノレックスを傘下に持ちながらも、シャープのブランドパワーを買いたいがために数千億円の賭けに出た。韓国の電子企業関係者は、「シャープのブランドと鴻海の製造能力が合わされば、世界の電子業界に相当な影響を与える」と証言する。
(韓国『中央日報エコノミスト』2016年2月22日号)
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