【産業天気図・海運業】海運業界は今上期が大底。土砂降りのち曇りだが不安定
09年4月~9月 | 09年10月~10年3月 |
海運業界の2009年度上期は荷動き急減に加えコンテナ船の赤字から「土砂降り」だが、09年度下期には海運市況の回復が見込まれることなどから雨が上がり「曇り」となり、ところによっては晴れ間も見えてきそうだ
証券コード9100番台の上場海運会社18社のうち、集計上の重複を避けるために親子上場の子会社4社を除いた14社ベースの営業利益合計は、空前の海運好況を受けて、08年度上期に4227億円に達した(下表(1))。営業赤字会社は東海汽船<9173>、佐渡汽船<9176>の2社、18社ベースでは太平洋海運<9123>や関西汽船<9152>を含めた4社だったが、このうちフェリーやジェットフォイルなど内航主体の東海、佐渡、関西の3社は12月決算で上期(1~6月期)は元々不需要期。太平洋海運はドック入りが立て込んだ影響で赤字となっただけであり、外航主体の海運会社は、半期ベースでの過去最高益を計上した会社も少なくなく、海運業界は空前の海運好況を満喫していた。
ところが米リーマン・ブラザーズの経営破綻後の荷動き急減で、08年度下期には14社ベースの営業利益合計は10分の1以下のわずか315億円まで急減した(下表(2))。10月まではまだ良かったが、11月、12月と荷動きが急激に落ちこんだ。コンテナ船比率の高い海運大手の一角・川崎汽船<9107>が下期に営業赤字へ転落したほか、新和海運<9110>、第一中央汽船<9132>も下期営業赤字となった。空前好況時の高値用船があだとなり、第一中央汽船は下期に175億円もの営業赤字に陥った。18社ベースでは6社が営業赤字。太平洋海運は再用船先の期限前解約や経営破綻で赤字が拡大した。高速道路の値下げが直撃した関西汽船は赤字を継続。粗鋼大幅減産が直撃した新和内航海運も赤字に転落した。
一方、09年度上期は荷動きの低迷に加えてコンテナ船の赤字が響き、大手3社のうち業界最大手の日本郵船<9101>が営業赤字に転落、川崎汽船も2半期連続の営業赤字となりそうだ。高値用船が多い第一中央汽船も赤字を継続。上期にドック入りが集中する玉井商船<9127>が赤字に転落。不需要期の東海汽船や佐渡汽船も赤字で14社中6社が営業赤字(18社ベースでは恒常的な赤字が続いている関西汽船や太平洋海運を加えた8社)となる見通し。14社計の営業利益額はわずか25億円にまで落ちこむ(次ページ表(3))公算だ。