「SurfaceBook」は何のためのパソコンなのか マイクロソフトが高額パソコンを作る理由

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Surface Bookが、アップルが強みとして持っている”プレミアムなパソコン”に割っては入れるかどうかは、まだしばらく市場の観察が必要だろう。しかし、キー入力、ディスプレイ品質、ペン入力のフィーリング、絶対的な性能の高さなど、プレミアムパソコンとして、これまでのWindows搭載機にはないジャンルを確立させていることは間違いない。

唯一、不満に感じたのは動き出しのフィーリングが悪いタッチパッド。しかし、これはソフトウェアの改良で改善できる部分だろう。今後のアップデートに期待したい。

Surface Pro3は、その登場によってWindowsパソコンに”2-in-1"パソコン(タブレットとノートパソコンを切り替えて利用できるパソコン)市場をもたらした。これによって、フォロワーや他形式の製品も含めて市場を活性化させたことは間違いない。Surface Bookの本当の評価、存在意義は、それ自身が売れることではなく、プレミアムパソコン市場に他のパソコンメーカーが力を入れ、Macに迫る存在感を示した時に認められるものと言える。

では今後のSurfaceシリーズは、どうあるべきなのだろうか。

カギを握るのはスマートフォン

こう質問しても担当のブライアン・ホール氏は将来の製品について話はできないと口をつぐんでいたが、Windowsプラットフォームとエコシステムに欠けているのは、スマートフォンへとつながる領域だ。Windows 10 Mobileが、スマートフォン市場において存在感を示す必要がある。

実は、Windows 10搭載パソコンとWindows 10 Mobileスマートフォンは、iPhoneとMacがそうであるように、さまざまな連動が可能なように作られている。両者をBluetoothでペアリングしておけば、スマートフォン側のテザリング機能のオン/オフも自在だ。アップルと同じように、マイクロソフトも”Windowsファミリーのデバイスを使えば、自然に連動する”仕掛けがOneDriveというサービスとともに用意されている。

どのメーカーの製品を使っていても、Windowsファミリーならばつながるという意味ではアップルよりも魅力的と言えるかもしれないが、Windows 10 Mobileの存在感が小さいことが、そうした利点を覆い隠してしまっている。

もしマイクロソフトがSurfaceシリーズを通じ、Windowsプラットフォームに欠けている部分を補いたいと考えているならば、次に投入するSurfaceはスマートフォン、あるいはその派生製品になるのではないだろうか。

マイクロソフトは現在、ノキアから買収して取得したLumiaシリーズをスマートフォンのハードウェアとしてラインナップしているが、いずれも正面からAndroidスマートフォンと競合する製品だ。もし、Surfaceシリーズでスマートフォンを作るなら、異なる切り口からの製品となるはずだ。そして、そのときこそ、マイクロソフトの対アップル戦略が明確に姿を現す時ともいえるだろう。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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