いきなり年収2000万円!今アツい仕事の真実 グーグル、トヨタ…人材争奪は国境を越える

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求められる職種の人材争奪戦では給料が高騰している(写真:tsukat / PIXTA)

その筆頭が自動車業界である。2010年にグーグルが自動運転車の開発を公表して以降、「自動運転」は自動車メーカーとして研究開発の避けられない分野となった。ここでAIはカギとなる。トヨタ自動車は米国の有力研究者たちの囲い込みに成功し、AIの研究所の設立にこぎ着けた。

日進月歩で進む技術革新に対応するには即戦力が必要

自動車メーカーのエンジニアは大半が機械系を専門とする。エンジンが開発の中心を担ってきたことが大きい。だが今後はソフトウエア系が中心になる。「AIのアルゴリズムを車に組み込むための高度なプログラミングをできる人が求められている」(人材企業関係者)。日進月歩で進む技術革新に追いついて行くには、即戦力となる人材を引き込むのが急務なのだ。

実はそんなトヨタをはじめとして、パナソニック、NTT、ファナックという日本を代表する大企業4社が資本・業務提携を結ぶのが、前出のプリファードネットワークス(PFN)だ。社員数約30人、創業からわずか1年強の会社にこれだけの企業が群がるのは異例のこと。「人材がいない」。同社を訪れる企業の担当者は異口同音にそう嘆く。それだけAI開発の人的資源を求めている。

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PFNが求めるのは、研究と事業を両立できる人だ。つねに論文に目を通して最新の研究成果に目を配りつつ、プログラムも組みながら事業を進めなければならない。「大企業では研究所の成果が事業につながるまで非常に時間がかかる。われわれはとにかくスピード重視だ」(長谷川氏)。そんな姿勢も企業を惹きつけるのだろう。

「モノのインターネット(IoT)」や「フィンテック」といったバズワード(はやり言葉)に象徴されるとおり、AIに限らず、今やIT(情報技術)なしにはあらゆる産業が成り立たなくなっている。

つまり、これまでIT業界の中で起こってきた急速な構造変化が、伝統的な大企業をも巻き込んでいくということだ。その意味で人材獲得は企業の勝敗を決めるといえる。法外な給料と引き替えに、エンジニアたちが会社の未来をずっしりと背負っているということだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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