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特徴を生かしたターゲティングも続々

ネット通販最大手、楽天も行動ターゲティング広告を強化中だ。楽天市場をはじめ旅行、信販、オークションなどグループ各社の顧客情報データベースを基盤とした「楽天スーパーDBターゲティング広告」を5月末に開始。傘下のポータル、インフォシークを軸に展開する。

この新しい行動ターゲティング広告は、基本的な仕組みはヤフーなど他社と変わらない。が、5000万件の会員情報と、行動解析の要素に「商品購買履歴」「楽天スーパーポイントへの反応度」が使われているのが、楽天ならではの大きな特徴だ。

「ポイントへの反応度が高いユーザーは、条件によっては、通常の10倍以上のCTRを記録することがある」と楽天の小林司ADソリューション事業長。「今後はさらに分析を進めて、『投資に関心がある』などといったサイコグラフィック的な項目や、直前に接触した広告が購買行動に影響を与えるリーセンシー効果を高めるよう開発したい」。

同時に、ヤフーに比べると見劣りする媒体力を高めるため、積極的に他のネット媒体と提携。広告配信のネットワーク化により、行動ターゲティング広告の拡大をもくろむ。

パソコン・携帯電話での交流サイト(SNS)最大手のミクシィも、SNSに存在する200万ものコミュニティを分析し、グループごとに広告を配信するターゲティング広告を強化中だ。特定のコミュニティに参加している利用者には、その特性に合った広告を配信する。

ミクシィの辻正隆・mixi事業本部営業部長は「広告代理店などが保有する購買動向データなどと組み合わせて、より精度の高いターゲティング広告を開発したい」と語る。

利用者参加型、動画検索連動など新顔も登場

新たなネット広告の展開はターゲティング広告に限らない。ミクシィが手掛けるユーザー参加型や口コミ型の広告もその一つ。

ミクシィでは、宇多田ヒカルの新刊書のタイアップ広告を展開するに当たり、利用者から直接、広告バナー、キャッチコピーを募集する企画を展開した。「単純なネット広告では、CDと誤認されるおそれがあったため、ひと工夫必要だった」(辻氏)。ミクシィの日記と同様、携帯から簡単に投稿できるようにしたことも手伝って、1万2000件弱の応募を集めた。単に、効果的な広告を作ってもらうというだけでなく、投稿作品はサイトに掲載してユーザーの参加意識を高め、さらに投稿者が自分の友人知人に知らせるというSNSならではの口コミを喚起、商品の認知度アップにもつながったという。

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