ベンチャーが先導する再生医療、臓器移植の代替も視野に応用研究が進む

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普及には企業化が必須 動き出す米ベンチャー

普通の医薬品開発でも、医療機関での臨床研究と企業の研究開発は車の両輪の関係にある。再生医療でも、企業が細胞や組織、臓器を大量に均質に生産できれば、多くの患者に低コストで提供できるはずだ。

大和総研・新規産業調査部の依田宏樹氏は、「再生医療普及へのプロセスには企業の参入が不可欠。医療機関では細胞などを作れる数が限られ、品質管理にも限界がある。企業が医薬品などとして開発すればより高い品質が保たれる」と説明する。

もちろん、ビジネスモデルが確立されている医薬品などに比べ、再生医療は、企業がビジネスとして乗り出すには未知の要素がまだ大きい。

大手製薬企業の間に様子見気分が漂う中、再生医療の市場化に向けて動き出したのがベンチャー企業だ。バイオビジネスの本場・米国では、すでに30社ほどのベンチャーが再生医療関連の臨床試験を進めている。

その中でも汎用性の高い細胞医薬品を開発しているのが、92年に設立されたオサイリス・セラピューティクス社(Osiris Therapeutics)だ。同社が米バイオ医薬品大手のジェンザイム社と共同開発している幹細胞治療薬「Prochymal」は、成人から骨髄を採取して間葉系幹細胞を単離し、それを増殖させて凍結保存させておくもの。急性移植片対宿主病(GVHD、骨髄移植後に移植された骨髄が他の組織を攻撃する疾患)や、クローン病(炎症性腸疾患)向けの臨床試験では、承認申請一歩手前の第3相に達している。

また、アルダジェン社(Aldagen)は公的バンクから臍帯血(へその緒の血液)を入手、ALDHという酵素を発現する幹細胞を濃縮し、必要時に患者へ移植するシステムを開発している。小児の先天性代謝異常に向けた臨床試験は第3相まで進み、白血病への適用も視野に入れている。

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