荒川詔四・ブリヂストン社長--かつてのラジアル化に続く大きな転換点が来た
新たな技術競争の時代 再編は十分ありうる
--業界は過去、グローバル30、グローバル10と収斂してきました。
合従連衡やM&Aはまだ進む。タイヤは国際規格商品だから、つねにグローバル競争にさらされている。しかも今回のように経済的なダメージを受け、今度は環境を軸とした社会の変化、価値観の変化、車種の変化が生まれている。業界でも新しいターニングポイントが来るかもしれない。過去、ラジアル化でタイヤ業界は大きく揺さぶられた。ベルトフレックスという別の技術にこだわった米国のタイヤメーカーは乗り遅れた。今回の新しい変化にどう対応するかで、優勝劣敗がはっきりすることも十分考えられる。
--唯一のライバルともいえるミシュランの動きは気になりますか。
ミシュランとの比較はあまり重要ではない。もちろんミシュランの中身もやり方も注意して見ている。しかし、彼らを追い越そうと考えていない。彼らもそうだろう。ミシュランとBSとは生まれも資産も歴史も違う。しかも親会社が日本とフランス。まったく違う会社だ。われわれはあくまで「名実ともに世界ナンバーワン」という、あるべき姿に向かっていく。各グループが同じスピードと幅と深さで進み、その結果グローバルで一つの絵になればいい。
--BSの中期経営計画はユニークですが、特に修正の必要は。
毎年ローリングしていくのが中計の一つの特徴。経営環境は変わるものだから、毎年、経営環境を織り込んで変える、または入れ替えたり、早める。だから、経済環境が激変しても動じない。あるべき姿が突然変わることはないからだ。
「どこが中計の終点なのか」とよく聞かれるが、逆に、最終年度目標を達成すれば終わりなのかと問いたい。世の中にある5カ年計画なんて私は納得できない。BSがユニークなのは自分の担当の部門が何をやるべきかを共有化されていること。中計を作るときのエネルギー、案を作った後にコミュニケーションするエネルギーにはものすごいものがある。本社が勝手に決めてやらせる計画では、やらされる側にオーナーシップがなくなってしまう。