割賦販売法の「総量規制」導入、教育ローンへの影響に懸念余地
割賦販売法(割販法)が厳格化された。高齢者を狙った犯罪的なリフォーム事件などに象徴された悪質加盟店の排除、多重債務者発生の防止という消費者保護政策を前面に打ち出した法改正である。これを受けて、信販・クレジットカード会社のビジネスが今後、大きく変わらざるをえない情勢になっている。
同法改正の中で最も大きなポイントが「包括支払可能見込額調査義務」の導入である。新たな貸金業法が導入した、借り手の年収を基準にした借入上限額規制(総量規制)と並ぶ量的規制であり、信販・クレジット各社は顧客に提供する利用極度額について、国が定めたルールに基づく設定が義務づけられた。
具体的には、信販のほかに、クレジットカードのリボルビング払い、分割払い(2回払い、ボーナス一括払いも含む)を対象として、各社は顧客の年収から生活維持費、年間請求予定額を差し引いた金額に、経済産業大臣が定めた一定の割合を乗じて算出できる額を極度額として提供することになる。生活維持費は世帯人数、持ち家の有無などで基準が定められる。さらに物価水準の相違を踏まえて、地域ごとに生活維持費の基準が設定される仕組みだ。実に細かい規定であり、実際の生活維持費の水準は多様となる。
増大する教育費負担
現時点で定まった基準に基づいて一例を示すと、年収400万円で生活維持費200万円、信販・クレジットカードの年間請求予定金額が60万円である利用者の場合、包括支払可能見込額は140万円(400万円−200万円−60万円)。経済産業大臣が定めた割合が70%(0・7)だとすると、信販・クレジットカード会社が同顧客に提供できる利用極度額は98万円までとなる。
「経済産業大臣が定める割合」は告示で明らかになるが、「0~1・0」の間となるもようだ。
適用除外の規定も盛り込まれている。たとえば、年収がない専業主婦などの場合、30万円以下の極度額の提供が認められる。ただし、その際には、自社のクレジット債務が50万円、他社を含めたクレジット債務が100万円を超える場合は認められないという。さらに一時的に極度額を増額することも場合によっては認められる。海外旅行、自動車購入の頭金、冠婚葬祭、緊急医療費などがその対象となる。