米マクドナルド、「ブランド復権」の解剖学 彼らはデジタルで何を行ったのか?
本記事では、2015年に米マクドナルドが、顧客からの「I'm Lovin it」を取り戻すために実行した戦略における、4つのポイントをまとめる。いまだ低迷から抜け出せずにいる、サラ・カサノバ体制の日本マクドナルドのいまを読み解くためのヒントも、ここに隠されているかもしれない。
ブランドのリフレッシュを試みた2015年初頭、マクドナルドのCMO、デボラ・ワール氏は「10億食をサーブする企業から、10億人のニーズを聞く企業になる(“billions served” to “billions heard”)」として経営哲学の転換を呼びかけた。こうして顧客からのフィードバックに耳を傾けた結果のひとつが、先の朝食メニュー終日提供にもつながっている。
この方針転換についてイースターブルックCEOは「長年の間、顧客が求めてきたものだ」と話し、「過去の遺産が障壁となっていた自己変革を、我々は成し遂げたのだ」と続けた。
店舗のデジタル化を推進
ウェンディーズのような競合他社が本格的なイノベーション・ラボを設置するなか、テクノロジー方面での苦戦を強いられていたマクドナルド。だが、これを打破するヒントも2015年にもたらされる。そのヒントとは「アメリカ人は自分のためにカスタマイズされた体験を好む」という内容。これを受けてデジタルキオスク端末で自分好みのハンバーガーを注文できる「Create your Taste」プログラムを発表した。
ブランド開発会社デイモン・ワールドワイド(Daymon Worldwide)のコンシューマー戦略担当副社長であるバージニア・モリス氏は、この戦略は正しい方向への第一歩であると考えている。彼女は「ワンサイズのお仕着せ的アプローチは長くは続かない。今日の顧客ニーズに応えるには、よりパーソナライズされた選択肢を用意すべきなのだ」と述べた。