米マクドナルド、「ブランド復権」の解剖学 彼らはデジタルで何を行ったのか?

拡大
縮小

また、米マクドナルドではデジタルでの顧客体験を向上させるべく、店舗の検索、メニューと栄養情報の表示、そしてクーポンの機能を持ったモバイルアプリをローンチした。このアプリは2015年10月の時点で、ダウンロード数200万以上、150万以上のクーポン利用を記録したという。

これについてネイションズ・レストランニュース(NRN)のサラ・ロッキャー編集長は、米Digidayに対し「当時の彼らは低迷下にありながらも、デジタルイノベーションとマーケティングに注力して正しい一歩を踏み出した。そして、それは今日の消費者がすべてのブランド企業に期待しているものでもある」と語った。

そして攻めのマーケティング展開

さらにロッキャー編集長は、「マクドナルドにとってもっとも大きな強みのひとつは、彼らが世界最大のマーケティング予算を持った企業だということだ」と続ける。「若い顧客にとってデジタルは、とても身近な存在であることを理解したマクドナルドは、いち早く彼らに向けた改善を試みたのだろう」。

キャンペーンのGIFアニメ(画像はmcdonalds.comから)

代金の代わりに愛情表現で支払うという「Pay With Lovin」キャンペーンや、かつて存在した泥棒風のいでたちをしたキャラクター「ハンバーグラー」の復活など、顧客からの不評を買いまくった迷走プロモーションはいくつもあるマクドナルドではあるが、デジタルマーケティングの領域では着実に進歩を遂げつつある。

たとえば朝食メニューを終日提供するキャンペーンをプロモートする以下のGIFアニメなどは、一目瞭然でサービス内容が伝わる、うまい見せ方だろう。

米国とは市場の特性や顧客の傾向が異なっているかもしれないが、日本マクドナルドも従来のブランドの殻を破り、早くハンバーガーチェーンの王者として返り咲いてもらいたいものだ。

Tanya Dua(原文 / 訳:ワタナベダイスケ)

DIGIDAY[日本版]の関連記事
米マクドナルドが「無断模倣」で陳謝。Twitter画像の類似性を指摘され
味比べ? バーガーキング『BIG割』の意味するところ:業界の活性化も目的か
米タコベル、WS盗塁成功で「朝食無料」キャンペーン。実施決定で1万7500ツイートのバズ発生

 

DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT