金融改革で問われるリスクと創造性の調和--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

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 4月2日にロンドンで開催されたG20で、将来の国際金融システムのあり方をめぐって、議論が沸騰した。結論次第では、国際金融界だけでなく、世界も今後数十年にわたって大きな影響を受ける可能性がある。

金融はパワーとアイデアと影響力を生み出す源泉である。批判者は国際金融システムの基本的な構造変化は起こっていないと主張しているが、それは誤りである。今後数年以内に国際金融規制や条約という形をとって、大きな変化が起こることは間違いない。将来の国際金融システムがどの方向に進むべきかを指し示す指標がなければ、現在の混迷を解決することは実質的に不可能である。

米英両国は、自分たちの覇権を拡大するようなシステムを望んでいる。ガイトナー米財務長官は、総合的な金融規制体制を構築するプランを発表した。今までの米国の身勝手さを批判してきた人も、ガイトナー案に優れたアイデアが盛り込まれていることを認めざるをえなかった。

この計画で特に注目されるのは、規制当局が金融機関に税金による資金投入に依存せず、リスクをカバーできるだけの十分な資金を保有するように強制している点である。またガイトナー長官は、金融取引をわかりやすくすることで、金融機関の経営者や当局、投資家が的確に金融取引のリスクを評価できるようにすることも狙っている。

多くの国はガイトナー案に共感しているが、一部の国はもっと根本的な改革を行うように求めている。ロシアと中国は、基軸通貨としてのドルに疑問を投げかけている。中国人民銀行の周小川総裁は、IMF(国際通貨基金)が国際的なスーパー通貨を発行する長所と短所について発言している。ただロシアと中国のドル批判は抑制されたものであったが、欧州連合閣僚理事会議長のトポラーネク・チェコ首相は、欧州の多くの指導者の怒りの気持ちを代弁し、米国の身勝手な財政政策は“地獄へ通じる道”であると言い切った。

国際金融改革に対する関心は非常に高い。ドルが国際金融システムの中心的な役割を果たしていることで、米国は自国の経済を混乱させることなく、巨額の資本を調達している。たとえばブッシュ前大統領は減税をする一方でイラクへ侵攻して財政赤字を拡大させた。こうした前大統領の政策に対する批判はあるものの、財政赤字拡大にもかかわらず、米国債の金利は低下している。もっと基本的に言えば、米国が国際金融システムの中心的な役割を果たしていることで、世界の投資に関して米国の裁判所や規制当局、議員は非常に多大な権限を与えられているのである。こうした仕組みこそが、米国金融システムの機能不全が深刻な世界不況を引き起こした理由である。

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