通勤電車の座席をめぐる「仁義なき戦い」

鉄道会社は改善するつもりがあるのか?

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バゲットシートと仕切り棒がトラブルの種に(写真:fuzisawa mdaka/PIXTA)

近年、座席に凹凸をつけて一人分を明確したバケットシートの車両に入れ替わっているのは、いくら譲り合って座ってもらうことを求めてもそうしない乗客が多いからだ。

鉄道会社が7人掛けを想定しているところに6人で座っていると、そのことへの不満が出る。要所要所に仕切りのバーを設置している車両も少なくない。

このシートが、多くの人に「一人分」に対する権利意識を覚醒させた気がする。だが、これが新たな乗客同士のトラブルの原因になっているように思えてならない。というのも、どうみても日本人の体格に見合わなさそうな座席サイズが前提になっているからだ。

シートの幅が男性には狭すぎる

たとえば3人掛けの席にごく普通のサイズの男性が2人座ったら、あと1人はかなり細い女性でも無理なスペースしか残らない。3人目の男性が真ん中の席に滑り込むと、まさに押し合いへし合い。両脇の男性がかなり不快そうにしているのを見るにつけ、すぐにでも喧嘩が始まりそうでハラハラする。

筆者の肌感覚で言うと、この「自分の身体の幅より狭い一人分に座る」人は、圧倒的に男性が多いように思われる。図々しいおばさんたちの専売特許なんかではない。女性にもいることはいるが、多数派ではない気がする。女性の場合は、見ず知らずのむさくるしいおじさんと、お互いの体温を感じ取れるほどぴったり身体を密着させて座るのはゴメンだという心理が働くのかもしれない。

これを迷惑行為だと思う人もいれば、迷惑だと思うことがけしからんと思う人もいるだろうが、そもそも座席のサイズが3人分になっていないことに問題があるのではないか。

電車の座席の横幅は一部の例外を除けば、おおむね45㎝以下。紳士用のスーツの肩幅は最も細いYA3でも44.5㎝。標準のA8だと49㎝。背もたれに背中をきちんと着けて座ることは土台無理なのだ。この状態で譲り合えと言われても、これ以上どうしろと言うのかと思う。

細身の人は常に譲る側、太めの人は常に譲らせる側になるという点も、細身の人にとっては不満だろう。

ただでさえこの状態なので、車内ではひじを身体の内側に入れることが鉄則になるが、ひじを内側に入れてスペースを作ったら、隣人はひじを身体の外側に出してきたというのでは、譲った方が一方的に損をする。

パソコンの操作をするとひじは身体の外に出るし、スマホの場合は気をつければひじを内側に入れても操作可能だが、それを実行している人は多くない。

次ページ「ひじ掛け」もトラブルの原因に
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