通勤電車の座席をめぐる「仁義なき戦い」

鉄道会社は改善するつもりがあるのか?

「荷物の持ち方、置き方」が急上昇していることと、キャリーケースの普及は無関係ではあるまい。座席に荷物を置くという行為は昔からある定番の迷惑行為だから、やる人、迷惑だと感じる人、どちらも急に増えるとは思えない。

その点、キャリーケースは人ひとり分のスペースをとるので、存在そのものが迷惑でありながら、その利便性ゆえに電車内に持ち込む人はここ数年で大きく増えた感がある。

このアンケートでは、昨年まで「混雑した車内へのベビーカーを伴った乗車」という項目があったが、2015年度から削除されているので、その分の票が「荷物の持ち方、置き方」に流れた可能性もある。今やベビーカーは車イスと同等の扱いとなり、迷惑だと思ってはいけない対象になっている。以前に比べて大型化しているのは、歩ける子どもを乗せるためのものになっているからだ。

抱ける重さの時は抱いて歩くが、多少歩けるようになった子どもを連れて歩くのは、すぐに疲れて歩けなくなるから大変だ。だが、子育てを全て妻任せにした男性は言うに及ばず、腱鞘炎になりながら、重たい子どもを抱き抱え、乗り物に乗る時はかならずベビーカーを畳んでいた世代のお母さんたちの思いはさまざまだろう。

座席の座り方が問題に

「乗降時のマナー」が上昇している原因はスマホの普及だろう。このアンケートには「携帯の着信音や通話」や、「混雑した車内で新聞や雑誌・書籍を読む」はあるが、「混雑した車内でのスマホ操作」や「歩きスマホ」という項目がない。その分が「乗降時のマナー」に含まれている可能性がある。

かつてすし詰めの車内で新聞や雑誌、本を読む人は少数派だったが、今はどんなに混んでいてもスマホ操作をやめない人が非常に多い。

筆者は身長が160㎝ないので、目から頬のあたりの至近距離でスマホを操作されたり、スマホを背中に直に突きつけられたりする機会が多いが、操作している人の多くはイヤホンで耳をふさぎ、自分だけの世界に入り込んでいるらしく、全く悪意がなさそうだ。

そして実は最もさまざまな価値観で得票を集めたのが2位の「座席の座り方」ではないかと思う。さすがにシルバーシート以外でも、お年寄りや身体の不自由な人に席を譲らない人はほとんど見かけなくなった。マタニティマークを知らない人はまだまだ多いらしく、マークを付けている人に譲らないケースを多少見かけるという程度だ。しかし、健常者同士となるといきなり、互いに容赦がなくなる。

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