膨張し過ぎた会社をいったん振り出しに戻す--横井昭裕・ウィズ社長

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膨張し過ぎた会社をいったん振り出しに戻す--横井昭裕・ウィズ社長

玩具の企画・開発会社ウィズは、今2009年5月期で2期連続の赤字と、厳しい業績が続いている(四季報速報参照)。

同社は、デジタル液晶玩具「たまごっち」の産みの親、横井昭裕社長が率いる、玩具の企画開発者集団だ。「たまごっち」は1996年の初代発売時と2004年以降と、2度もの世界的ブームを巻き起こすなど、群を抜く商品力を見せ、ライセンス料などの版権収入とあいまってウィズの収益に大きく寄与した。だが、「たまごっち」は販売元であるバンダイとの共有キャラクターであり、在庫リスクなどがない反面、ウィズ独自の事業展開の幅には制約がある。そのため、「たまごっち」に依存しないオリジナル商品の強化、独自ブランドの確立は2005年の株式上場以来、ウィズにとっては最重要課題といえるが、実際にはそれに代わるような大型ヒットはまだ生まれていない。

2期連続赤字が避けられない状況となった昨年末、ウィズでは体質改善のための大がかりなリストラ、戦略の見直しに着手した。業績悪化に至った原因、今後の打開策などについて、横井社長にインタビューした。


欠けていた「ミカン箱」精神

--ウィズ単体の社員数の半数近い、30名もの社員を削減するなど、大がかりなリストラを実施されました。何が問題だったのでしょうか?

「ウィズは創業以来、世の中にない新しいものを考え出し、他の玩具メーカーにアイデアとして、または玩具最終品として市場に提案する会社です。ただ、最近の玩具市場では、定番玩具は売れても、新しいものがなかなか売れにくい状況が続いています。それが当社が苦戦している最大の原因です。大手メーカー自体が保守化している、という面もあると思いますし、背景としては、ニンテンドーDSやWiiなど、デジタルゲームに玩具購買層の目が向かっている、ということもあると思います」

「経済全体の落ち込みほどには玩具市場は悪くならないでしょうが、当分の間、市場全体はじり貧だと思います。それでも、当社のように新しいことにチャレンジする会社の存在意義は残ります。新しいものを生み出し、ヒットを出せる自信もあります。ただ、それがいつ出るかについては何ともいえない。上場企業として、安定的な収益を上げなければいけないという責任もありますので、仮にヒットが出なくても赤字にならないよう、膨らんだ組織をコンパクトにし、効率のいい運営体制にしよう、というのが今回のリストラの狙いです」

「当社固有の問題としては、上場以来、いろいろなものにお金を掛け過ぎました。オリジナル商品の販売力を強化するとの名目で販売会社を先に作ったり、コンテンツ関連の会社を買収したり、身の丈を考えない大がかりな販促費をかけたりしました。人員も急速に増え、上場当時70名程度だった社員数が、直近では連結で150名と拡大しました。

「ウィズ=横井」というイメージから脱却するために、中間管理職層の人材を増やしたことが、かえって逆効果になった面もあったと思います。社内の命令系統が多段階になり、コミュニケーションの問題も出てきた。ヒット商品が出ていれば、うまく機能していたのかもしれませんが、商品が売れない→責任のなすりつけあいをする→社内の雰囲気も悪くなる→ますます売れる商品が出ない、と悪循環に陥っていたと思います」

「私はバンダイ出身なのですが、バンダイ創業者の山科直治氏はよくこんなことを言っていました。新規事業をやるならミカン箱で始めなさい、と。最初から大舞台でやるな、ということですが、その精神が欠けていたと反省しています」

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