ロンドンにある「日本人サッカー学校」の秘密 「帝京ロンドン学園」はプロも輩出している

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トレーニングだけでなく、欧州のサッカーを学んでもらうため、第一線で活躍している代理人やプレミアリーグのスタッフを講師として招き、サッカーにおける契約書の作り方など様々な角度からサッカーを包括的に指導しています。また、コーチングライセンスを取得できる授業をサッカーコースのカリキュラムに組み込んでいるため、卒業時にはイギリスの中学生を指導できる資格を全員が取得できます。

「勉強が遅れてしまう」と心配する保護者もいるのですが、実はサッカーコースの生徒のほうが英語の上達は早い傾向があります。サッカーに関する授業はすべて英語で行うため、自然と英語能力が高まります。夕食後には自習時間も義務付けているので、勉強の遅れが問題になることはありません。

――授業の入り口はサッカーですが、選手以外のキャリアにも活かせるプログラムがあるんですね。

生徒の希望も、「選手」一辺倒ではないんです。指導者になりたい生徒もいれば、「サッカーの世界で働きたい」とまだぼんやりと考えている生徒もいる。もちろん、プロ選手を目指す生徒もいます。

在学中の3年生でスペインのチームと契約を果たした生徒は卒業後、プロサッカー選手としてのキャリアをスタートします。彼は入学時にはそこまで目立った生徒ではありませんでしたが、3年間の指導で爆発的に伸び、本校が提携しているサッカー代理人の後押しもあって契約に至りました。

選手以外のプログラムも充実

末弘健太(すえひろ けんた)/1988年生まれ。日本体育大学体育学部体育学科卒。在学中よりサッカー指導者を志し、小学生から高校生まで幅広い年代のコーチングを担当する。卒業後は拠点をロンドンに移し、現在は帝京ロンドン学園にて主にサッカーコースの指導に当たっている

――施設はとても高校のものとは思えないほどです。

天然芝のピッチが2面あり、ナイター照明も完備しています。フィジカルトレーニング用のジムや器具はもちろん、コンディション管理のためにジャグジーや温水プール、サウナ、水風呂なども設置しています。これだけ揃えているところは、日本の高校ではないと思いますし、Jリーグの下部組織でもここまで備えているチームはないでしょう。インフラに関してモデルケースにしているのは、イングランドプレミアリーグの下部組織です。そのため、これでもまだ足りないところがたくさんあります。施設整備はこれからも積極的に進めていきたいです。

――学費はかなりかかるのでしょうか。

正直に申し上げて、学費は高いです。円安ポンド高の影響もあり、1ポンド180円ではサッカーコースは年間約370万円になります。ただし、寮制なのでこれらは学費や部費、食費、寮費など、生活に必要な費用がすべて含まれています。

文部科学省が行っている就学支援金制度を活用している生徒もいるなど、活用できる奨学金制度を紹介してもいます。もし本校に関心を持たれたら、費用の高さにためらわず、まずは問い合わせほしいと思います。

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