海外で大絶賛される「阿波踊り集団」の正体 ニューヨークやパリ市民を踊らせた「寳船」

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――今後の寶船の目標、展望は?

阿波踊りだけでなく、いろんなアーティストと協力して、フェスティバルみたいなものを日本でやりたいなと思い、企画しています。芸人、アイドル、アーティスト、違うジャンルですけど、オモシロイ人たちを集めてしまいたいなと。そういうイベントをやりたいです。

それから、寶船に入る人を増やして、阿波踊りのムーブメントにしたいと思っています。僕らが少数でやっていても、おそらく文化ってなかなかムーブメントになりにくい。いろんな阿波踊りの業界が祭りの枠を超えて、芸能として立ち上がっていければいい。ライバルにはなるけれど、長い目で見たら文化としてはその方がよいはずなので。数年後には海外で活躍するグループにもどんどん阿波踊りを伝授して、寶船の海外支部を根付かせていきたいです。

大事なのは自分がやりたいことで誰が喜ぶか

――米澤さんは訪日外国人観光客にどんな旅をしてもらいたいですか。

まず、寶船を観てください(笑)。僕らのこと以外であれば、日本の田舎を体験してほしいですね。母の実家が長野の駒ヶ根なんですけど、雨の降るかどうか、イノシシが出るかとか出ないとか、そんな自然に寄り添った生活が日本人らしいんじゃないかと。あとは、美味しいものを食べてほしいですね。

――最後に、読者へのメッセージを。

グローバル化が進み、誰とどこで何をして働くのか、選択肢が増えています。私にとって仕事を選ぶということは、職業名や職種を選ぶのではなくって、やりたいことを探すことだと思います。自分がやりたいことで誰がよろこぶのか、突き詰めて考えて実行していけば、それが自分にとって人生で大事な仕事になっていく。私はこれからも、阿波踊りの活動を通じて、そういった価値感を伝えていけたら、と思っています。

取材後記
寶船、阿波踊り、伝統芸能、ニッポン、世界。米澤さんの視線はミクロからマクロまで、自在に行き来しながらインタビューは進みました。また、カメラの前では、エネルギッシュな阿波踊りのダンサーとしての顔と、経営者としてのロジカルな顔。真逆の顔を見せてくれました。視座の上げ下げと幅の広さ。これをバランスさせることができるのは、米澤さんの中にブレない信念として阿波踊りへの強い思いがあるからなのだろうと思います。
研ぎ澄まされた言葉の数々が心にささる、素敵なインタビューの時間でした。ぜひ、みなさんも生で寶船の阿波踊りを見てみてください。とにかく、すごい迫力です。

 (執筆:鶴岡優子)

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鶴岡 優子 地方創生ライター

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Yuko Tsuruoka

日本各地の魅力を発掘し、そこで奮闘するリーダーを取材。世界150カ国以上に日本の魅力を発信する訪日インバウンドメディア「DiGJAPAN!」元プロデューサー。自治体や企業に対し「地域の魅力発信」のコンサルティングを経験。現在はIT企業でPRとメディア開発に従事。グロービス経営大学院経営学修士(MBA)修了。

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